日本薬理学雑誌
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特集:n-3系脂肪酸の新たなる生理・薬理作用の探索と将来展望
疼痛時におけるn-3系脂肪酸-GPR40/FFAR1シグナルの役割
中本 賀寿夫徳山 尚吾
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2018 年 151 巻 1 号 p. 21-26

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抄録

近年,脂肪酸の有する多様な生理作用が注目されている.著者らはドコサヘキサエン酸(DHA)が種々の疼痛試験において抗侵害作用を示し,その発現機序に,内因性オピオイドペプチドのβ-エンドルフィン遊離が関与することを明らかにしている.これらの結果は,DHAなどの脂肪酸が生体内の疼痛制御機構を担うシグナルとして機能している可能性を示している.現在,遊離型DHAの作用部位の一つとして,Gタンパク質共役型受容体の脂肪酸受容体GPR40/FFAR1が知られている.この受容体は,脳や脊髄などの中枢神経系領域に豊富に発現していることがわかっていたが,その生理学的意義やその役割は不明であった.著者らはこれまでに,GPR40/FFAR1が脳内の各部位に広く発現し,神経細胞上に発現していることやGPR40/FFAR1アゴニストが痛みを抑制することを見いだしている.一方,GPR40/FFAR1アンタゴニストを繰り返し投与したマウスおよびその遺伝子欠損マウスは,機械的刺激に対して過敏な応答を示し術後痛の回復が遅延すること,すなわち痛みが悪化することも報告している.術後痛の急性期においては,DHAをはじめとする数種類の遊離脂肪酸含量が増加することも明らかにした.本総説では,疼痛時における脳内n-3系脂肪酸-GPR40/FFAR1シグナリングの役割について著者らの成績をもとに紹介したい.

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