日本薬理学雑誌
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特集:n-3系脂肪酸の新たなる生理・薬理作用の探索と将来展望
脳・神経機能維持とn-3系脂肪酸
橋本 道男
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2018 年 151 巻 1 号 p. 27-33

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抄録

n-3系脂肪酸の機能性は,心・血管系や脂質代謝系など,多岐にわたることがよく知られている.特に,n-3系脂肪酸のなかでも脳に多く含まれるドコサヘキサエン酸(DHA)は胎児期から老年期にいたるまで脳機能維持には必須である.その摂取不足は,脳の発達障害,うつ病,アルツハイマー病などの精神・神経疾患の発症と深く関連する.DHAは主に,神経新生,シナプス形成,神経細胞分化,神経突起伸張,膜流動性の維持,抗炎症作用,抗酸化作用などに関与し,脳機能維持に重要な役割を担っている.その作用機序は,1)細胞膜構成成分として膜流動性を変えてイオンチャネルや膜結合型受容体・酵素へ作用し,2)細胞膜から切り出された遊離型DHAが直接的に,あるいはさらに代謝されてプロテクチンD1などに変換されて,間接的に核や各種タンパク質に作用してその機能性を発揮する.今後の展開しだいでは,DHAなどn-3系脂肪酸の補充は,脳機能の低下を抑制し,様々な精神・神経疾患の発症とその進行を遅延し,さらには改善する可能性が期待される.

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