日本薬理学雑誌
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特集:アレルゲン免疫療法の薬理学
舌下免疫療法におけるTh2細胞サブセットの解析
伊原 史英櫻井 大樹岡本 美孝
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2019 年 154 巻 1 号 p. 12-16

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抄録

Th2細胞はアレルギー疾患に重要な働きをすることはよく知られているが,近年,IL-33レセプターであるST2を発現し大量のTh2サイトカインを産生するTh2細胞(pathogenic Th2細胞)が,アレルギー疾患の病態形成に重要な役割を持つことが報告されている.さらにアレルギー性鼻炎発症への関与も示されてきたが,その特徴は十分明らかとなっていない.現在,アレルギー性鼻炎を根本的に改善させうる唯一の治療法がアレルゲン免疫療法であり,特にその安全性と侵襲の少なさから舌下免疫療法に注目が集まっている.本研究では,ダニ舌下錠を用いた大規模プラセボ対照二重盲検比較第Ⅲ相試験に参加したダニアレルギー性鼻炎患者の末梢血単核球を用いて,ダニ抗原に反応するTh2細胞の特徴と舌下免疫療法の治療効果を評価するマーカーとしての有用性を検討した.患者末梢血単核球にダニ抗原を加え1週間培養し,抗原に反応したTh2細胞の特徴についてフローサイトメトリーを用いて解析した.実薬群とプラセボ群の比較では,Th2サイトカイン産生細胞が実薬群の治療後に減少したが,これに加えて新たにST2細胞,IL-5,IL-13産生型CD27CD161細胞(CD27CD161細胞)が治療に関連して変動することを見いだした.さらにこのST2細胞およびCD27CD161細胞は,実薬群の有効例において無効例と比較して減少を認めた.本研究では,ダニアレルギー性鼻炎において,新たにダニ特異的なST2細胞,CD27CD161細胞の存在,および舌下免疫療法の効果と関連した減少を示し,これらの細胞集団はpathogenic Th2細胞としてダニアレルギー性鼻炎の病態の変化に関わる可能性が示唆された.さらにこれらの細胞集団の治療前後の変動と自覚症状との相関から,これまで客観的評価が困難であったダニアレルギー性鼻炎に対する舌下免疫療法の治療効果をより正確に評価可能とする治療効果判定マーカーとしての有用性が期待される結果を示した.

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