日本薬理学雑誌
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特集:硫化水素をはじめとした生理活性イオウ研究の新展開
硫化水素によるCav3.2を介する疼痛シグナルの調節
坪田 真帆川畑 篤史
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キーワード: 硫化水素, 疼痛, 内臓痛, Cav3.2, TRPA1
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2019 年 154 巻 3 号 p. 128-132

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抄録

内因性ガス状情報伝達物質である硫化水素(H2S)は,cystathionine-γ-lyase(CSE)を含む3つの異なる酵素によってL-システインから産生され,多様な分子に作用することで種々の生理的および病態生理的役割を演じている.H2SはCav3.2 T型カルシウムチャネルの活性を上昇させることで体性痛を促進し,膵臓,結腸,膀胱などにおける内臓痛を増強する.H2SはTRPA1活性化作用も有しており,H2Sによる体性痛にはCav3.2に加えてTRPA1も関与する.一方,H2Sによる結腸痛はTRPA1ノックアウトマウスでは減弱しないことから,Cav3.2がより重要な役割を果たしている.CSE/H2S/Cav3.2系の機能亢進は,神経障害性疼痛,膵炎に伴う膵臓痛,膀胱痛症候群の痛みなどに関与する.過敏性腸症候群にもCav3.2は関与するが,CSE/H2S系の役割についてはまだよくわかっていない.本総説では,H2Sによる痛みシグナルの調節とCav3.2の役割について概説する.

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