日本薬理学雑誌
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創薬シリーズ(8)創薬研究の新潮流60 ~ベンチャーが拓く創薬研究~
1細胞・大規模トランスクリプトーム解析と細胞制御技術による医薬開発の加速
福田 雅和團野 宏樹
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2024 年 159 巻 1 号 p. 48-52

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抄録

株式会社ナレッジパレットは,世界最高精度の1細胞レベルの全遺伝子発現解析技術を応用して,様々な種類の薬剤や培地で処理した細胞の状態を大規模データとして取得し,その情報を使って細胞を高度に制御することにより,難病克服を目指すスタートアップ企業である.ビッグデータを用いた新しい表現型創薬と再生医療用細胞の高品質化に取り組んでいる.コア技術の一つとして,理化学研究所で開発されたシングルセルレベルの全遺伝子発現解析技術(Quartz-Seq2)を実用化している.本技術は,国際Human Cell Atlasプロジェクトでのベンチマーキングにおいて,総合スコア1位の評価を得た.本技術を超多検体のバルクトランスクリプトーム解析へと応用することで,創薬スクリーニングやヒト臨床検体の解析,数多くの培養環境評価を可能とした.本稿では大規模データとAI技術を組み合わせたオミックス創薬・細胞制御アプローチを紹介する.

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© 2024 公益社団法人 日本薬理学会
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