日本薬理学雑誌
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特集 薬理学・生理学・解剖学教育における実習の果たす役割について:実習は必要か?
薬学教育における薬理学実習の現状と将来
香月 博志
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2026 年 161 巻 5 号 p. 320-325

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抄録

薬理学は,薬学部・薬科大学の教育課程において中心に位置する学問領域の一つであり,講義科目はもとより実験実習科目を通じて得られる教育効果は他に代え難いものがある.一方で薬理学実習の中身については近年,専ら実験動物を用いる内容で構成されてきた伝統的な形式からある程度脱却していくことが必要とされるようになってきた.本稿では一例として,令和7(2025)年度現在の熊本大学薬学部における薬理学実習について紹介し,今後の実習の在り方について考察する.本学では,コロナ禍を契機として薬理学実習(実験動物解剖実習を含む)の実施内容の大幅な見直しを行い,履修者が直接実験動物や摘出器官を取り扱う実習項目を必要最小限に削減している.具体的には,従来ラットを用いて実施していた血圧実習は,全面的にシミュレーションソフトウェアを用いた実習に切り替えた.腸管収縮反応を計測する実習については,シミュレーションソフトウェアを主体としつつも,摘出腸管標本の実際の反応を見る機会も設ける形式とした.この他,過去の実習で行っていた数項目の動物実験については,e-learningシステムを介して自習用の動画資料として提供している.一方,中枢作用薬の実習や解剖実習では,マウスへの薬物投与,マウスの行動観察,マウスの頭部及び全身解剖を履修者に課している.従前の薬学教育モデル・コア・カリキュラムに含まれていた薬理学実習に関連する到達目標の記述が令和4年度改訂版からは削除されており,実習の実施内容について各大学の裁量の幅は広がっている.実験動物を用いることで得られる大きな学修効果や,創薬・生命科学研究に携わる人材を育成するという薬学部・薬科大学の使命等を考慮しつつ,今後も実習内容の見直し・改善に努めていく必要がある.

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