日本藥物學雜誌
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「アルコホル」ノ尿量ニ及ボス影響ニ就テ
奥藤 重二
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1926 年 2 巻 1 号 p. 70-83,en4

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抄録
「アルコホル」性飲料ノ攝取後ニ現ハル,尿量ノ増加ガ,「アルコホル」ノ作用ト關係ナク箪ニ多量ノ水分デ攝取スルニ基因スルカ,或ハ「アルコホル」ノ作用ト特種ノ關係ヲ有スルヵニ就テハ,既ニ古クヨリ追究セラレシ所ナルモ,諸家ノ説未ダ一致ヲ観ルニ至ラズ.然ルニMori及ビLehmann1)ハ「アルコホル」ハソレ自己ノ作用トシテ尿量ヲ増加セシムルモノナルヲ認メ,而モ其利尿作用ハ其消化管ニ於ケル水分吸牧促進作用ニ基因スルモノナランモ,恐ラク其心臓或ハ腎臓ニ封スル直接作用ニヨリテモ惹起セラル,モノナラント云ヘリ.次デFanuszekiewicz2)ハ「アルコホル」ノ撮取ガ入ニ於テハ利尿的ニ作用スルヲ認メ,更ニ二例ノ犬ニ就テ實験セシニ,少量ノ「アルコホル」ヲ經口的ニ與ヘタル場合,一例ニ於テハ僅ノ尿量増加ヲ認メシモ他ノ一例ニ於テハ尿量ノ差異テ認メズ,多量ノ「アルコホル」テ與ヘタル揚合ハ常ニ尿量ノ減退ヲ認メタリ.叉氏ハ犬ノ大腿ノ静脈ヨリ體重ノ1/26ノ0.9%食塘水ト共ニ「アルコホル」ヲ注入セシニ食塩水ノミヲ注入セシ場合ニ比シ常ニ尿量ノ少キヲ認メ,「アルコホル」ヲ經口的ニ適用シ利尿作用アルハ消化管ニ於ケル水分吸牧ノ促進作用ニ因ルモノナルベシト云ヘリ.
即チ「アルコホル」テ經口的ニ適用セシ揚合ノ尿量ニ及ボス影響ハ動物ノ種類ニヨリテ相違スルモノ,如ク,人ニアリテハ利尿的ニ作用シ,試験動物殊二犬ニアリテハ利尿作用極メテ不確實ナルノミナラズ,大量ニ於テハ却テ尿量ヲ減退セシムト云フ.而シテ「アルコホル」ノ利尿作用ガ輩ニ其消化管ニ於ケル水分吸収促進作用ニ基クモノナルカ,或ハ此他ノ作用ト關係テ有スルカハ未ダ全ク解決スルニ至ラズ.
茲ニ於テ,余ハ最モ汎ク試供セラル・家兎ニ就テ,「エチールアルコホル」ヲ胃内ニ注入セシ場合ノ尿量ニ及ボス影響ヲ先ヅ観察シ,次ニ之ヲ静脈内ニ注入セシ場合,即チ消化管内ノ水分吸牧ト蘭係ナキ揚合ニ於ケル尿量二及ボス影響ヲ検シ,更ニ「アルコホル」ノ静脈内注射ガ血壓及ビ腎臓容積二及ボス影響ト尿量ニ及ボス影響トハ如何ナル關係テ有スルヤヲ探求セリ.以下余ノ得タル成績ニ就テ述プル所アラントス.
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© 日本藥物學雜誌編輯局
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