日本薬理学雑誌
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ラット肝の薬物代謝酵素と脂質過酸化に及ぼすキク科和漢薬の影響
真柳 誠中山 貞男小口 勝司
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1992 年 100 巻 1 号 p. 29-37

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抄録

キク科和漢薬の15生薬より熱水抽出エキス(HWE)と9生薬よりタンニン除去画分(DTF)を調製し,ラット肝のアミノピリンN-メチル基分解酵素(APD)活性とアニリン水酸化酵素(ANH)活性,および脂質過酸化物(LPO)形成に対するHWEとDTFの影響をin vitroで検討した.APD活性は12生薬のHWEで抑制され,特に菌陳蒿の作用は著明であった.菌陳蒿・艾葉・款冬花・蒼朮・白朮のDTFではHWEよりAPD活性抑制作用が減弱,ないしは消失したが,紅花のDTFでは活性を促進した.ANH活性は11生薬のHWEで抑制された.菌陳蒿・艾葉・旋覆花のHWEはANH活性を促進させたが,それらのDTFでは抑制を示した.紫〓のDTFではHWEよりANH活性の抑制作用が減弱したが,紅花・白朮・蒼朮・木香のDTFではそれぞれのHWEより抑制作用が増強された.LPO形成は14生薬のHWEで抑制され,菌陳蒿・艾葉・款冬花・紅花・木香は著明な抑制を示した.紫〓以外のDTFではHWEよりLPO形成の抑制が減弱したが,紅花はなお強い抑制を示した.今回,APD・ANH活性とLPO形成に対し著明な作用を示した菌陳蒿・艾葉・紅花・菊花・旋覆花・白朮・蒼朮・木香は,in vivoにおいてもそれらに影響を与える可能性が示唆された.

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