抄録
視床下部刺激下の情動行動を検索するためには,情動の表出と体験という2つの要素を考慮する必要がある.従来より著者らは,視床下部の情動行動を表出の立場から薬理学的に検索してきた.また,体験の水準を明らかにするため,前報において古典的条件づけにより視床下部刺激下のconflict-induced behaviorの形成を試みるとともに,この行動modelを用いて向精神薬の作用検索を行った.そこで本実験では,さらYom..視床下部刺激の質的検討および条件反応に対する向精神薬の作用検索を行う目的で,視床下部刺激による学習行動について検討した.動物は視床下部領域に慢性電極を植込んだウサギを用い,実験装置はウサギ用に改良したshuttle boxを使用した.強化実験は,慣れが形成した動物について,条件刺激としてブザー音,無条件刺激として視床下部の電気刺激を用いて行った.その結果,回避形成群,回避から逃避形成に変化した群および逃避形成群の3群が出現した.回避を形成した群を回避行動mode1,回避から逃避形成に変化した群および逃避形成群を逃避行動modelとして分類した.さらに,これらの行動modelは,強化過程の反応潜時に対する作用あるいは消去工作の結果から,学習された行動であることが判明した.