抄録
20頭の雄性ビーグル犬を用い,phenobarbital-Na(PB)とchlorphenesin carbamate(CPC)の身体依存性形成について検討した.6週間経口投薬の後,1週間の休薬期,さらに4週投薬の後1週間の薬物交叉期をおき,体重,摂食量,禁断症状の観察等をおこなった.その結果,PB群は休薬期,薬物交叉期いずれにおいても著明な異常症状,体重減少を示し,時には死亡する例さえあったが,PBと同様の鎮静作用を示す量のCPC群ではこれらの症状は全く認められなかった.この成績からCPCには身体依存性形成能(physical dependence liability)が無いことが推定された.