日本薬理学雑誌
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抗炎症薬のScreening法としてのPaper disk granuloma法
原 幸男冨澤 摂夫
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1977 年 73 巻 5 号 p. 557-569

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抄録

抗炎症薬スクリーニング用の肉芽増殖モデルとして,paper disk granuloma(PDG)法を考え,従来のcotton pellet(CP)法と比較し次の結果を得た.1)PDG法による肉芽重量はラットの週令の増大に従って増加し,スクリーニングへの使用には9週令雌性ラットが適当であることがわかった.2)Paper diskの厚さで麟形成が異なり,厚さ1.5mm,直径8mmのものが良好であった.3)CP法では綿球のそう入後1日目から肉芽が採取でき,3日目には重量,蛋白量,核酸 いずれもpeakとなった.4)PDG法では1,日目に肉芽採取はできなかった.しかし,重量,蛋白量は2~3日目に,核酸量は6日目に最高となった.5)PDG法はCP法と類似する肉芽腫法であるが,その形成時期に差があり,特に前者は核酸の増加が遅延する傾向を示した.6)両方法共に,uridincの取り込みは初期に著しく高く,後に減少した.7)Thymidineの取り込みは, CP法では2日目に, PDG法では3日目に最高となったが,取り込み能には差がなかった.8)Fluocinolonc acetonide(FA)の抗肉芽作用を両方法で比較した場合,PDG法のほうが反応性が高かった.9)PDG法を用いて抗炎症薬の予防効果を調べると,そのED50はおのおの, FA 27μ9/kg,phenylbutazone 91mg/kg,3-o-phthaloxy glycyrrhetinate 66mg/kgであり,またsodium.salicylate 300mg/kgも有効であった.治療実験でも各薬物共に有効であった.

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