日本薬理学雑誌
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肝microsome薬物代謝活性とcytochrome P-450の多様性の関係
鈴木 健一六波羅 昌子和田 文雄
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1978 年 74 巻 1 号 p. 91-98

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抄録

肝microsomeおよび部分精製された数種のcytochrome P-450標品を用い,microsomcを用いた場合の薬物代謝活性の多様性を示す実験結果(Lineweaver-Burk plotsおよび活性のpHによる変化)が精製標品ではどのように説明されるかを検討した.aniline hydroxylaseおよびaminopyrine demcthylase活牲のLineweaver-Burk plotsは,microsomeを用いた場合も精製標品を用いた場合もhyperbolic curvcになった.cytochrme P-450系が関与する薬物代謝反応が複雑なのでMichaelisの式が成立しないか,あるいは分離した標品がそれぞれまだ多様性をもったもので,分離法によってはさらにいくつかに分けられるなどが考えられる.動物をphenobarbitalあるいはmethylcholanthreneで処理すると,aniline hydroxylase活性のpH curvcは正常動物のそれと比較して変化する.phenobarbital処理では至適pHはアルカリ側へ移動し,その反応系にcortisolを添加して阻害すると,アルカリ側で活性の減少が大きく,pH curveは正常動物のそれに似てきた,精製標品による活性のpH curveは標品によって異なり,microsomeを用いた場合の変化が酵素の多様性で説明されることを示した.

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