日本薬理学雑誌
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Insulinおよび2-Deoxy-D-glucoseによる迷走神経性胃分泌刺激剤に対するγ-OryzanolとAtropineの作用比較
水田 和孝板谷 公和
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1978 年 74 巻 4 号 p. 517-524

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抄録
γ-Oryzanolのinsulin, 2-DG刺激に対する作用について, atropineを対照に比較検討した.この結果, γ-oryzanolの前処置は, insulin刺激による胃液分泌を用量依存的に抑制するほか, 2-deoxy-D-glucose (2-DG) 刺激の胃液分泌亢進をも抑制した.しかし, 血糖に対してはまったく影響を与えなかった.また, 血清gastrinは溶媒綿実油投与群に比し, 若干peak時を早めるが, 両者の間に有意差は認められなかった.これに対し, atropineはinsulin, 2-DG刺激による胃液分泌を完全に抑制した.しかし, 血糖はinsulin刺激の場合, 生理食塩水投与群よりも有意に減少し, 2-DG刺激の場合には, 生理食塩水投与群との間には差は認められなかった.また, 血清gastrinはinsulin, 2-DG刺激ともに, atropine投与群は生理食塩水投与群よりも著明に上昇した.これらの事実より, γ-oryzanol作用は, 末梢性のatropine作用とはやや異なるが, 迷走神経系に関与して発現するものと推察した.
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