日本薬理学雑誌
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Succinic acid mono-3-guaiazulenamideの抗潰瘍作用
小島 勝彦岩野 勝行西村 英明吉村 明奥田 博久鈴木 良雄
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1982 年 79 巻 1 号 p. 23-32

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抄録

guaiazulene誘導体のスクリーニング中に著明なShay潰揚の抑制作用を示したSuccinic acid mono-3-guaiazulenamide (TPH-3)について種々の実験潰瘍ならびに胃酸分泌に対する効果を検討したところ以下のような結果が得られた.1)ラットのShay潰瘍,幽門結紮-aspirin潰瘍,拘束水浸ストレス潰瘍の予防実験において,TPH-3(200mg/kg i.d.あるいはp.o.)は潰瘍指数を有意に抑制した.2)TPH-3はモルモットのhistamine潰瘍を著明に抑制し,12.5,25,50mg/kg p.o.の間で明らかな用量―反応関係が得られた.3)ラットの焼灼潰瘍ならびに拘束水浸ストレス潰瘍における治癒実験では,TPH-3は弱い治癒効果を示した.4)幽門結紮ラットの胃液分泌はTPH-3の100mg/kg i.d.で有意に抑制された.TPH-3はhistamine,pentagastrinおよびcarbacholによる胃酸分泌を有意に抑制したが,histamineによる胃酸分泌を特に強く抑制した.6)一般薬理実験で抗Ach,抗histamine H1-受容体作用は認めなかった.7)TPH-3は胃液分泌抑制作用により急性潰瘍を抑制するが,これは主としてhistamineによる胃液分泌機構のいづれかの点に作用しているものと推察される.

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