1982 年 79 巻 1 号 p. 33-41
ストレプトゾトシン(STZ)投与後2週における糖代謝,血中および尿中Ca,Mg,Cu量および血圧変動に及ぼす甲状腺摘除(Tx)の影響について実験した.血中および尿中Ca,Mg,Cu量に対するTxの影響はみられなかった.グリコヘモグロビン(HbA1)量はTxで増加し,Tx+STZ2週ではさらに増加した.しかし,高血糖を得るためにTx前処置ではSTZの多量を必要とし,STZによるノルエピネフリン(NOR),AChの血圧反応の抑制を,Tx前処置では正常に近づけたことから,甲状腺機能低下は,STZ糖尿の糖代謝および循環動態の一部を改善することが示唆される.