日本薬理学雑誌
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ラット脳内Cyclic nucleotidesにおよぼすClonidineの影響―Clonidine単独投与時およびα遮断薬併用時の変化―
中道 博之村上 松太郎水沢 重則近藤 靖佐々木 広渡辺 勝宏高橋 晶須藤 まき子小野 幸彦
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1987 年 89 巻 6 号 p. 331-337

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抄録

中枢性降圧薬clonidineによる降圧および心拍数減少時の脳内cyclic nucleotides量の変化を観察し,さらにα遮断薬の前処置によりcyclic nucleotides量変化に対するα受容体の関与も考察した.pentobarbital麻酔ラットを,コントロール群,clonidine単独投与群,prazosin前処置群,yohimbine前処置群の4群にわけた.clonidine投与から20分間血圧と心拍数変化を観察したのち,マイクロ波で屠殺した.摘出脳の7部位についてcyclic nucleoddes量を測定した.clonidine投与20分後において,血圧降下と心拍数減少が認められた.このclonidineの作用は,yohimbineにより有意に抑制されたが,prazosinでは有意な影響を受けなかった.clonidineによりcyclic AMPは特に橋延髄と視床下部で増加したが,cyclic GMPは視床下部と線条体で逆に減少した.prazosinは線条体以外の部位でclonidineによるcyclic AMP増加作用を抑制する傾向を示し,yohimbineも,小脳,線条体,海馬で有意に抑制した.一方,prazosinは,線条体以外,特に橋延髄でclonidineのcyclic GMP減少作用を有意に増強し,逆に,yohimbineは橋延髄と視床下部で有意に抑制した.以上より,clonidineの作用発現時には脳内cyclic nucleotides量にも変化が生じ,特に自律神経中枢と呼ぼれる脳部位で著明であった.また,この変化にはα1,α2受容体が関与しており,その関与形態は,脳部位により,またcyclic AMPとcyclic GMPの間でも異なることが示された.

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