日本薬理学雑誌
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89 巻 , 6 号
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  • 小川 陽一郎, 今井 昭一
    1987 年 89 巻 6 号 p. 317-322
    発行日: 1987年
    公開日: 2007/02/23
    ジャーナル フリー
    Kコングクタンスを減少させる3,4-diaminopyridine(3,4-DAP)をブタ冠動脈標本に適用し周期性収縮発生の有無を検討したところ10-2Mにより,5~100分の潜伏期の後,規則的(28/60)および不規則な周期(15/60)の周期性収縮と持続性の収縮(16/60)が出現した.そこで周期性収縮を示した標本で周期が一定になったところで,新しい血管拡張薬pinacidilの作用を他の血管拡張薬のそれと比較検討したところpinacidilはnicorandilと同様用量依存的な周期の延長,最大張力および弛緩時の張力低下作用を示した.これはpinacidilにKコンダクタンス増加作用のあることを示唆する実験結果である.一方,nifedipineとdilazepは最大張力を著明に抑制し,adenosine,dipyridamoleおよびnitroglycerinは周期の延長と弛緩時の張力の低下作用を示した.以上の結果は,周期性収縮の発現にはKコンダクタンスの減少と電位依存性Caチャネルが重要な役割を演じていることを示唆している.
  • 南里 真人, 金戸 洋
    1987 年 89 巻 6 号 p. 323-329
    発行日: 1987年
    公開日: 2007/02/23
    ジャーナル フリー
    先報の成績に基づき,vasopressinなど学習・記憶に関係するといわれている各種プロリン含有生理活性ペプチドの分解・不活性化に関与するプロリン特異性エンドペプチダーゼ(PPCE)に対する阻害薬の学習・記憶への効果を,水を強化因子とした明暗弁別Y迷路学習およびレバー押し学習と,一試行性step-through受動的回避学習実験について検討した.Y迷路学習実験では,1日の順化とその後5日間の反復テストによる明暗弁別摂水行動の習得までの経過を,摂水までの潜時と正解率を指標とし,また,レパー押しによる摂水行動学習では,2日間のマガジン訓練によってレバー押し摂水行動を習得させ,その後2日間にわたってこの行動を観察した.一試行性受動的回避学習実験では,明室から暗室に入った際に床グリッドから足ショックを与え,この1回の獲得試行によって習得した受動的回避反応の消失を指標に検討した.これらの各方法の条件を適当に設定することによって,マウスにおいても学習の経過と習得した行動の消失が観察可能で,また,電撃痙攣ショックあるいはscopolamine投与によって健忘モデルを作製することができた.この結果,検討した5種のPPCE阻害薬の中でin vitroでの阻害効果が最も強いZ-Pro-Pはすべての方法においても学習過程の促進と抗健忘様効果が得られた.また,Z-Pro-Pに次いで阻害効果の強いSuc-Pro-PもY迷路学習,一試行性steP-through受動的回避学習実験で有効であった.先報での成績と併せ,PPCE阻害薬に抗健忘様効果を認めるとともに,その作用がAVPの分解過程に作用する可能性を示唆した.
  • 中道 博之, 村上 松太郎, 水沢 重則, 近藤 靖, 佐々木 広, 渡辺 勝宏, 高橋 晶, 須藤 まき子, 小野 幸彦
    1987 年 89 巻 6 号 p. 331-337
    発行日: 1987年
    公開日: 2007/02/23
    ジャーナル フリー
    中枢性降圧薬clonidineによる降圧および心拍数減少時の脳内cyclic nucleotides量の変化を観察し,さらにα遮断薬の前処置によりcyclic nucleotides量変化に対するα受容体の関与も考察した.pentobarbital麻酔ラットを,コントロール群,clonidine単独投与群,prazosin前処置群,yohimbine前処置群の4群にわけた.clonidine投与から20分間血圧と心拍数変化を観察したのち,マイクロ波で屠殺した.摘出脳の7部位についてcyclic nucleoddes量を測定した.clonidine投与20分後において,血圧降下と心拍数減少が認められた.このclonidineの作用は,yohimbineにより有意に抑制されたが,prazosinでは有意な影響を受けなかった.clonidineによりcyclic AMPは特に橋延髄と視床下部で増加したが,cyclic GMPは視床下部と線条体で逆に減少した.prazosinは線条体以外の部位でclonidineによるcyclic AMP増加作用を抑制する傾向を示し,yohimbineも,小脳,線条体,海馬で有意に抑制した.一方,prazosinは,線条体以外,特に橋延髄でclonidineのcyclic GMP減少作用を有意に増強し,逆に,yohimbineは橋延髄と視床下部で有意に抑制した.以上より,clonidineの作用発現時には脳内cyclic nucleotides量にも変化が生じ,特に自律神経中枢と呼ぼれる脳部位で著明であった.また,この変化にはα1,α2受容体が関与しており,その関与形態は,脳部位により,またcyclic AMPとcyclic GMPの間でも異なることが示された.
  • 渡辺 繁紀, 太田 尚, 山下 樹三裕, 大野 益男, 谷 吉弘, 古谷 嘉章, 植木 昭和
    1987 年 89 巻 6 号 p. 339-354
    発行日: 1987年
    公開日: 2007/02/23
    ジャーナル フリー
    慢性電極植込みウサギを用いて,quinupramineの脳波作用をimlpramine,amitriptylineと比較検討した.quinupramineは自発脳波に対して皮質では高電圧徐波化,海馬ではθ波の脱同期化をひきおこし,著明な傾眠パターンを惹起した.この作用はamitriptylineと同程度でimipramineよりはるかに強力である.脳波パワースペクトラムは3薬とも質的にはほぼ同様の変化を示した.またいずれの薬物投与によっても動物は行動上鎮静状態を示し,軽度の筋弛緩,歩行失調が認められた.quinupramineは音刺激および中脳網様体,視床内側中心核,後部視床下部の電気刺激による脳波覚醒反応のいずれも著明に抑制し,覚醒閾値を上昇させた.physostigmineによって誘発される脳波覚醒反応はquinupramineによって著明に抑制され,持続時間は短縮した.これらの脳波覚醒反応に対するquinupramineの作用はamitriptylineとほぼ同程度でimipramineより強力であった.視床内側中心核刺激による漸増反応および,閃光刺激による光誘発反応はquinupramineによってほとんど影響されなかった.海馬,扁桃体の電気刺激による大脳辺縁系後発射はquinupramineによって増強される傾向を示したが,imipramine,amitriptylineでは投与初期には抑制された.以上,quinupramineの脳波作用は全般的にimipramineおよびamitriptylineに類似し,その作用強度はamitriptylineとほぼ同程度でimipramineよりもはるかに強力であった.
  • 後藤 和宏, 末川 守, 油田 正樹, 細谷 英吉
    1987 年 89 巻 6 号 p. 355-363
    発行日: 1987年
    公開日: 2007/02/23
    ジャーナル フリー
    TJ-8007(ツムラ続命湯)の脳機能保護作用を明らかにする目的で,数種の低酸素性脳障害モデルに対するTJ-8007の作用を検討した.1)マウスKCN(1.8mg/kg,i.v.)誘発昏睡に対してTJ-8007(0.3~3.0g/kg,p.o.)は用量依存的な保護作用を示した.ifenprodil(30mg/kg,p.o.)では昏睡時間の短縮傾向がみられたが,papaverine(100mg/kg,p.o.)は作用を示さなかった,2)マウスKCN(3.0mg/kg,i.v.)誘発致死に対して,TJ-8007(0.3~3.0g/kg,p.o.)は用量依存的な生存時間の延長傾向を示した.さらに,TJ-8007 3.0g/kgは致死率に対しても有意な改善作用を示した.一方,ifenprodil(30mg/kg,p.o.)およびpapaverine(100mg/kg,p.o.)は,生存時間の軽度な延長傾向を示すものの致死率に対して影響を及ぼさなかった.3)低酸素負荷時のマウスの生存時間に対してTJ-8007(0.3~3.0g/kg,p.o.)は影響を及ぼさなかった.一方,papaverine(100mg/kg,p.o.)は生存時間を有意に延長し,phenytoin(100mg/kg,p.o.)投与では著明な生存時間の延長作用を認めたが,ifenprodil (30mg/kg,p.o.)は増悪作用を示した.4)人工呼吸を停止することによって惹起した不動化ラットに対する無酸素負荷の検討では,TJ-8007 (1.0,3.0g/kg,p.o.)は全身血圧の低下,心拍数の減少を用量依存的に阻止し,脳波消失時間を著明に延長した.phenytoin(100mg/kg,p.o.)もまた無酸素負荷による全身血圧の低下を軽減する傾向を示し脳波消失時間を延長させたが,その作用はTJ-8007 3.0g/kgに比して弱かった.ifenprodil (30mg/kg,p.o.)は脳波消失時間に対して影響を及ぼさなかった.以上のことから,TJ-8007は低酸素,無酸素により惹起される脳障害に対して保護作用を有することが明らかとなった.
  • 金澤 稔郎, 戸田 昇
    1987 年 89 巻 6 号 p. 365-373
    発行日: 1987年
    公開日: 2007/02/23
    ジャーナル フリー
    K+,prostaglandin(PG)Fおよびserotoninによる血管の収縮反応に対する新しいCa2+流入阻害薬KB-2796 (1-[bis-(4-fluorophenyl)methyl]-4-(2,3,4-trimethoxybenzyl)piperazine dihydro-chloride)の作用を,摘出イヌ脳,冠,腸間膜および腎動脈条片を用いて比較検討した.KB-2796はK+,PGFおよびserotoninによって惹起される収縮反応を濃度依存性かつ非競合的に抑制したが,この作用はK+収縮に対してもっとも強かった.また腎動脈のserotonin収縮を除いて,いずれの収縮物質に対しても脳動脈における抑制作用は末梢動脈よりも有意に強かった.腎動脈においてserotoninは収縮を惹起するのに他の動脈よりも200~1200倍高濃度を必要とし,この収縮はK+収縮を抑制するのと同じ濃度のKB-2796によって抑制された.また栄養液中のNaClをKClで置換することにより強く収縮させた腎動脈にPGFを作用させるとさらに収縮反応が認められたが,同じ条件でserotoninを作用させても収縮反応は認められなかった.これらの事実より,KB-2796が脳動脈において選択的に各種血管収縮物質による収縮反応を強く抑制すること,ならびに腎動脈におけるserotonin収縮は,脳動脈におけるのと同様に電位依存性のCa2+流入を介した反応であることが示唆される.
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