日本薬理学雑誌
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新規トロンボキサン A2 拮抗薬,S-145 の血小板凝集に対する作用
嘉久志 寿人四家 勉内田 清久
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1989 年 93 巻 3 号 p. 171-178

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抄録

S-145,(±)-5(Z)-7-(3-endo-phenylsulfonylamino〔2.2.1〕bicyclohept-2-exo-yl)heptenoic acid は in vitro で,ヒト血小板の arachidonic acid(AA),9,11-methanoepoxy-PGH2(U46619),collagen および ADP(二次凝集)凝集を阻害し,その平均50%阻害濃度はそれぞれ0.25,0.34,0.22および0.08μMであった.S-145 のヒト血小板 AA および U46619 凝集の阻害活性は ONO-3708 の約2倍,SQ,29,548 の約 1/7~1/14,モルモット血小板では,前者の約7倍,後者の 1/3~1/7であった.しかし,ウサギ血小板の凝集に対しては ONO-3708 および SQ29,548 の作用が特に弱く,S-145 の作用は ONO-3708の250~800倍以上,SQ29,548 の 1~7倍であった.S-145 をモルモットに 0.1mg/kg,経口投与すると30分後および60分後の AA 凝集は完全に阻害されたが,3時間後および6時間後では有意な阻害がみられなかった.S-145の経口60分後における AA および collagen 凝集の阻害はそれぞれ 0.01mg/kg 以上および 0.03mg/kg 以上の s-145 投与で有意であった.モルモット血小板の AA およびcollagen 凝集に対する S-145 の経口投与による阻害作用は ONO-3708 および SQ29,548 の約30~300倍,aspirin の300~1000倍であった.以上の成績から,S-145 は強い TXA2 拮抗阻害作用を示し,経口投与で強い血小板凝集阻害作用を示す化合物であると結論される.

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