日本薬理学雑誌
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93 巻 , 3 号
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  • 栗山 煕
    1989 年 93 巻 3 号 p. 89-101
    発行日: 1989年
    公開日: 2007/02/20
    ジャーナル フリー
    As a pharmacological tool, drug actions on the K- or agonist-induced contraction of smooth muscle tissues are commonly investigated. However, underlying mechanisms for generation of these contractions are not yet completely clarified. For example, the high K-induced contraction was thought to be evoked by influx of Ca during activation of the voltage dependent Ca channel in the sarcolemma and also subsequent release of Ca from the sarcoplasmic reticulum. However, investigations of the voltage dependent Ca channel using the whole cell voltage and patch clamp procedures suggested that influx of Ca occurred with short period during the depolarization, mainly due to the occurrence of inactivation of the Ca channel. On the other hand, the amount of Ca in the cytosol remained high during the depolarization, as estimated using aequorin or fura-2. The agonist-induced contraction was thought to be evoked by influx of Ca by activation of the receptor activated Ca channel with subsequently activated voltage dependent Ca channel (either lowering the threshold or as a consequence of the depolarization), and release of Ca from the sarcoplasmic reticulum following synthesis of second messengers. However, detailed mechanisms are not yet completely understand. Present knowledge concerning underlying mechanisms of the K- and agonist-induced contractions are discussed.
  • 砂野 哲
    1989 年 93 巻 3 号 p. 103-112
    発行日: 1989年
    公開日: 2007/02/20
    ジャーナル フリー
    Vanadate, a trace element of biological tissues and fluid, has been known to be a potent inhibitor of Na, K-ATPase in various tissues. In skeletal muscle, it inhibits the Na, K-ATPase of the membrane fraction, whereas it can not inhibit the Na, K-pump in an intact preparation. It inhibits the Ca-ATPase of the sarcoplasmic reticulum and that of contractile proteins. Vanadate potentiates the contraction of some heart muscles, while it depresses the contraction in some other heart muscles. The positive and negative inotropic effects are mediated by changes in the action potential. The inhibition of Na, K-ATPase is not always involved in the inotropic actions. The inhibition of the Ca-ATPase of the sarcoplasmic reticulum and plasma membrane can be the causes of positive inotropic action. Actions on adenylate cyclase can also be the cause of inotropism. In smooth muscle, vanadate induces contractions with and/or without membrane excitation. The contractions are initiated by both the influx of extracellular Ca2+ and the release of intracellular bound Ca2+. The inhibition of Na, K-ATPase is not involved in the contraction but the inhibition of the Ca-pump of membranous systems can be the cause of the contraction. Vanadate is a useful tool for studies on the excitation-contraction coupling in muscles.
  • 小俣 武志, 井上 肇, 瀬山 義幸, 山下 三郎
    1989 年 93 巻 3 号 p. 113-118
    発行日: 1989年
    公開日: 2007/02/20
    ジャーナル フリー
    ラットの胃に酢酸潰瘍を作製し,2,10,40,80,180,365日目の時点で,その治癒過程における潰瘍部位と非潰蕩部位について,各種アミン含量とヒスチジンデカルボキシラーゼ(HDC)活性を比較検討した.その結果以下のことが明らかとなった,1)潰瘍部位のヒスタミン(HA)含量は非潰瘍部位と比較し,2,10日目で減少後,40日目で差がなくなり180日目で潰瘍部位ばかりでなく非潰瘍部位も正常対照群より増加した.2)セロトニン(5-HT)含量の変動はHAと同様であった.3)潰蕩部位のノルエピネフリン含量は非潰瘍部位と比較し,2,10,80,180日目で減少していた.4)潰瘍部位の HDC 活性は非潰瘍部位と比較し,2,10,40日目で減少し,180日目では正常対照群より減少したままであった.5)365日目に肉眼的に再燃,再発を確認したラットの潰瘍部位と非潰瘍部位のHA,5-HT含量は治癒したラットのその含量と差がなかったが,180日目と同様に高値を示していた.以上,胃粘膜中のHA,5-HT,HDC 活性の変動は慢性胃潰瘍の再燃,再発に係わる一因子となる可能性が推測された.
  • 桐本 吏, 大谷 かおり, 山田 博明, 藤澤 茂樹, 弘中 豊
    1989 年 93 巻 3 号 p. 119-131
    発行日: 1989年
    公開日: 2007/02/20
    ジャーナル フリー
    麻酔イヌの生体位心臓標本を用いて,虚血心筋保護効果を有する塩化レボカルニチン(LC-80)を 10mg/kg/min の用量で30分間静脈内に持続投与した時の心血行動態および心筋エネルギー代謝に及ぼす影響について検討した.(1)正常動脈酸素分圧+高FFA血症負荷条件下: LC-80 群における心血行動態および心筋エネルギー代謝はいずれも著変が認められず,コントロール群との間においても明らかな差が認められなかった.(2)低酸素+高FFA血症負荷条件下:LC-80群における心血,行動態はコントロール群との間で有意差が認められず心機能の低下傾向を示したが,冠血流量増加の程度はコントロール群に比較すると軽度である傾向が窺われた.一方,心筋エネルギー代謝に対しては,LC-80 群における乳酸の冠動・静脈血濃度較差の低下はコントロール群に比較すると有意に軽度であった.さらに,心筋酸化還元電位についても LC-80 群はコントロール群に比較すると陰性化の傾向を示さなかった.(3)低酸素+高 FFA 血症+運動負荷条件下:isoproterenol による運動負荷によって心筋のヒポキシアがさらに強くなった状態において,isoproterenol に対する LC-80 群の心血行動態指標(心拍数,左心室内圧,max dP/dtおよび心仕事量)の反応性はコントロール群に比較して有意な差ではなかったがやや良好である傾向が窺われた.一方,心筋エネルギー代謝に対しては,LC-80 群およびコントロール群における乳酸の冠動・静脈血濃度較差および心筋摂取率はいずれも負値を示し,心筋から乳酸が流出していることが窺われたが,その程度はLC-80 群の方が明らかに軽度であった.さらに,心筋酸化還元電位についても,両群ともその値は負値となり強い陰性化の傾向を示したが,その程度は乳酸の場合と同じく LC-80 群の方が明らかに軽度であった.以上の実験結果から,ヒポキシアあるいは運動負荷によって酸素の需給バランスが破綻を来して嫌気性代謝の方向に傾いた心筋に対して,LC-80 は嫌気的なエネルギー生成を抑制してエネルギー代謝を改善させる効果を有する可能性が示唆された.
  • 岡部 進, 竹内 孝治, 岡田 恵, 熊懐 康樹, 中田 美佳, 中田 晴香
    1989 年 93 巻 3 号 p. 133-144
    発行日: 1989年
    公開日: 2007/02/20
    ジャーナル フリー
    新規の histamine H2-受容体拮抗薬 nizatidine の抗胃液分泌および抗胃・十二指腸損傷(潰瘍)作用をラットを用いて検討した.対照薬として cimetidine を使用した.実験動物は雄性 SD 系またはドンリュウ系ラット(200~260g)を絶食または非絶食下に使用した.nizatidine 0.3~200mg/kgは経口または非経口(腹腔内,皮下,十二指腸内)投与により,幽門結紮法での基礎分泌,急性フィストラ法での histamine 刺激酸分泌を用量依存的に抑制した.nizatidine の抗胃液分泌作用を ED50 値(50%抑制量,mg/kgまたは μmole/kg)で比較すると cimetidine よりも2~8倍強力であった. nizatidine の1回経口投与後の作用の持続は3.5時間以上,6時間以内であった.急性胃損傷モデルである水浸ストレス損傷,Shay潰瘍,histamine 損傷,aspirin 損傷,indomethadn 損傷に対して,nizatidine 0.5~150mg/kg の経口または非経口投与は用量依存的な抑制作用を示した.mepirizole 十二指腸潰瘍に対しても nizatidine は強力な抑制作用を示した.nizatidine の水浸ストレス胃損傷または mepirizole 十二指腸潰瘍に対する効果を cimetidine と ED50 値で比較すると約20倍又は14倍強力であった.慢性胃潰瘍モデルである酢酸潰瘍を有するラットに indomethacin の連続投与は潰瘍の治癒を有意に遅延する.nizatidine 200mg/kg を1日3回4週間連続的に経口投与することによりこの潰瘍の治癒は有意に促進された.以上より,nizatidine は強力な抗胃液分泌および抗胃・十二指腸損傷作用を有することが判明した.
  • 池上 輝, 前田 明美, 原 英彰, 山下 明, 洲加本 孝幸, 伊藤 敬三
    1989 年 93 巻 3 号 p. 145-154
    発行日: 1989年
    公開日: 2007/02/20
    ジャーナル フリー
    抗うつ薬 trazodone およびその代謝物のモノアミン取り込み阻害作用,代謝回転に対する作用および含量に対する作用を検討し,おもに imipramine および mianserin の作用と比較した.trazodone は脳シナプトゾームへの〔3H〕norepinephrine(NE)の取り込みよりも〔3H〕5-hydroxytryptamine(5-HT)の取り込みをより強く阻害した.また,trazodone 10~30mg/kg は心臓内へのNEの取り込みを阻害せず,脳内への5-HTの取り込みを用量依存的に阻害した.trazodone の5-HTに対する取り込み阻害作用の選択性は,検討した被検薬物中最も高かった.trazodone の主要代謝物である m-chlorophenyl-piperazine(m-CPP)は,in vitro では trazodone よりも強い取り込み阻害作用を示したが,in vivo ではその作用は認められなかった.trazodone 100mg/kg および imipramine 30~100mg/kg はα-methyl-P-tyrosine(α-MT)による NE 含量の減少を抑制し,mianserin 100mg/kg は促進した.単回投与1時間後の脳内モノアミンおよびそれらの代謝物の含量に対して,trazodone 30mg/kg は 5-HT 含量を増加させ,5-hydroxyindole-3-acetic acid(5-HIAA)含量を減少させた.さらに 100mg/kg では NE 含量の減少,3,4-dihydroxyphenylacetic acid(DOPAC) と homovanillinic acid(HVA)含量の増加がみられた.m-CPP 10~30mg/kg も trazodone と同様の作用傾向を示した.imipramine および mianserin は 100mg/kg でも変化を示さなかった.3週間連続投与すると,最終投与1時間後で trazodone および m-CPPは 10mg/kg 以上で 5-HT含量を増加させ,5-HIAA 含量を減少させた.imipramine は 30mg/kg で NE,DA,HVA および 5-HIAA 含量を減少させた.最終投与17時間後では,trazodone はモノアミン含量に対して著明な変化を及ぼさなかったが,imipramineはNEおよび 5-HIAA 含量を減少させた.以上,trazodone は選択的な 5-HT 取り込み阻害作用を有し,モノアミン動態に対する作用は imipramine および mianserin と異なっていた.
  • 桐本 吏, 森川 裕子, 山田 博明, 藤澤 茂樹, 弘中 豊
    1989 年 93 巻 3 号 p. 155-169
    発行日: 1989年
    公開日: 2007/02/20
    ジャーナル フリー
    虚血心筋保護作用を有する塩化レボカルニチン(LC-80)の心臓血管系に対する作用を in vitro および in vivo の実験において検討し,次の結果を得た.(1)摘出ウサギ心筋条片標本において,LC-80は 10-2M の高濃度で右心房標本の拍動数に対して明らかな影響をおよぼさなかったが,右心房および電気駆動乳頭筋標本の収縮張力に対しては投与10分後でほぼ最大に達し20~30分後まで持続する増大作用を示した.しかし,この作用は 10-2M(10mM)という高濃度でのみ認められることから,基礎実験あるいは臨床適用時における通常の薬効量においては発現しない作用であることが考えられた.また,電気駆動乳頭筋標本の isoproterenol(10-10~3×10-7M)による収縮張力増大作用に対しても,LC-80 は 10-2M の高濃度で全く影響をおよぼさなかった.(2)摘出イヌ血管標本において,LC-80 は 10-3~10-2M の高濃度で冠状動脈(左冠状動脈廻旋枝)および伏在静脈の高 K+ 液による拘縮に対して全く影響をおよぼさなかった.(3)麻酔イヌの血管灌流実験において,LC-80 は 10mg までの高用量を動脈内に投与しても冠,大腿,腎,上腸間膜および椎骨動脈の血流量に対して何ら影響をおよぼさず,また, adenosine 10μg の動脈内投与による冠血流量増加作用に対しても全く影響をおよぼさなかった.(4)麻酔イヌの血圧反応において,LC-80 は 100~300mg/kgの静脈内投与によっても norepinephrine 2μg/kgの静脈内投与あるいは両側総頸動脈閉塞による血圧上昇反応ならびに acetylcholine 2μg/kg の静脈内投与あるいは頸部迷走神経電気刺激による血圧下降反応のいずれに対しても何ら影響をおよぼさなかった.以上の実験結果から,LC-80の心臓血管系に対する作用はほとんど無視できるものであることが明らかとなった.特に,LC-80の虚血心筋保護効果において冠血管拡張作用や心機能抑制作用などの関与が否定されたことは,従来の虚血性心疾患治療薬とは全く異なった新しい作用メカニズムを有する薬物である可能性が示唆された.
  • 嘉久志 寿人, 四家 勉, 内田 清久
    1989 年 93 巻 3 号 p. 171-178
    発行日: 1989年
    公開日: 2007/02/20
    ジャーナル フリー
    S-145,(±)-5(Z)-7-(3-endo-phenylsulfonylamino〔2.2.1〕bicyclohept-2-exo-yl)heptenoic acid は in vitro で,ヒト血小板の arachidonic acid(AA),9,11-methanoepoxy-PGH2(U46619),collagen および ADP(二次凝集)凝集を阻害し,その平均50%阻害濃度はそれぞれ0.25,0.34,0.22および0.08μMであった.S-145 のヒト血小板 AA および U46619 凝集の阻害活性は ONO-3708 の約2倍,SQ,29,548 の約 1/7~1/14,モルモット血小板では,前者の約7倍,後者の 1/3~1/7であった.しかし,ウサギ血小板の凝集に対しては ONO-3708 および SQ29,548 の作用が特に弱く,S-145 の作用は ONO-3708の250~800倍以上,SQ29,548 の 1~7倍であった.S-145 をモルモットに 0.1mg/kg,経口投与すると30分後および60分後の AA 凝集は完全に阻害されたが,3時間後および6時間後では有意な阻害がみられなかった.S-145の経口60分後における AA および collagen 凝集の阻害はそれぞれ 0.01mg/kg 以上および 0.03mg/kg 以上の s-145 投与で有意であった.モルモット血小板の AA およびcollagen 凝集に対する S-145 の経口投与による阻害作用は ONO-3708 および SQ29,548 の約30~300倍,aspirin の300~1000倍であった.以上の成績から,S-145 は強い TXA2 拮抗阻害作用を示し,経口投与で強い血小板凝集阻害作用を示す化合物であると結論される.
  • 後藤 正子, 井上 肇, 瀬山 義幸, 山下 三郎, 井上 治, 弓岡 栄三郎
    1989 年 93 巻 3 号 p. 179-186
    発行日: 1989年
    公開日: 2007/02/20
    ジャーナル フリー
    漢方方剤(大柴胡湯,八味地黄丸,白虎加人参湯)のエキスについて,実験的サイプロヘプタジン糖尿病における糖負荷時の血糖低下作用,および高脂肪食投与による実験的高脂血症における血清脂質低下作用を比較検討した.その結果,1)大柴胡湯は糖負荷30,60,120分後の高血糖を低下させ,耐糖能を改善した.また120分後の血清インスリン値を上昇させる傾向を示し,血清 glucose/insulin 比を低下させた.また,この方剤は実験的高脂血症における血清コレステロール値を低下させた.2)八味地黄丸は糖負荷30,120分後の高血糖を低下させたが,この時の血清インスリン値の上昇は認められず,むしろ血清グルカゴン値を上昇し,大柴胡湯とは異なる血糖低下作用機序を有すると考えられる.また,この方剤には高脂血症の低下作用は認められない.3)白虎加人参湯は耐糖能を改善せず,むしろ血清グルカゴン値を上昇させた.また,この方剤には高脂血症の低下作用は認められない.以上,三種類の漢方方剤の内,大柴胡湯は高脂血症をともなった糖尿病治療に効果を発揮する可能性を有する方剤と推測される.
  • 中川 英彦, 有田 茂, 小林 佐和子, 生駒 幸弘, 押野 臨
    1989 年 93 巻 3 号 p. 187-196
    発行日: 1989年
    公開日: 2007/02/20
    ジャーナル フリー
    非イオン性造影剤(metrizamide,iopamidol,iocibidol,iopromide,iohexol,iosimide,iotrolan)の中枢に対する作用を,Irwin の方法に基づいたマウスの一般行動観察,抗電撃痙攣,ラットの脳波,血圧,ウサギの脳波を調べることにより明らかにすることを試みた.一般行動観察では,iopamidol.iotrolan,iocibidol の与える影響は軽度,iopromide,iohexolでは中等度,iosimide,metrizamide では重度であった.全身投与により血圧は iosimide と iohexol で,他の造影剤とは異なり持続的に低下した.この作用は脊髄破壊をしたラットでは消失したことから中枢作用に由来すると結論された.電撃痙攣試験でも iosimide,iopromide,iohexol の投与でマウスの死亡率が増加し,両剤の痙攣原性が示唆された.脳に対する直接作用については,脳内に造影剤を投与した時に観察される脳波の変化により調べた.イオン性造影剤,ioxaglate,iosimide,iopromide で痙攣波,徐波,脳波の平坦化等が誘発されたが他の造影剤では影響はほとんど認められなかった.以上の結果から iopromide と metrizamide は一般症状の他に脳内に直接投与したときの耐容性が劣っており,iohexol は一般症状,電攣痙攣死,血圧の影響が,iosimide は調べられた全ての項目に対し影響が大きく,これに対して iopamidol,iotrolan,iocibidol は全ての試験で耐容性に優れていることが明らかになった.観察された中枢作用と浸透圧濃度との間に関係は認められず,非イオン性造影剤間の中枢に対する作用の違いは,相互に比較的類似した構造であるにもかかわらず,トリヨードベンゼン環の側鎖にあるわずかな構造上の差異に基づくものであることが示唆された.
  • 清田 義弘, 宮本 政臣, 永岡 明伸
    1989 年 93 巻 3 号 p. 197-202
    発行日: 1989年
    公開日: 2007/02/20
    ジャーナル フリー
    放射状迷路課題における実験的脳梗塞ラットの学習障害に及ぼす idebenone および indeloxazine hydrochloride の影響を検討した.実験的脳梗塞ラットは放射状迷路課題において著しい学習障害を示した.すなわち,偽手術対照群に比べ正反応数の減少および誤選択数の著明な増加を示した.特に実験的脳梗塞ラットは,既選択アームの再選択による誤反応の増加(作業記憶障害)が顕著であった.実験的脳梗塞ラットのこのような学習障害に対し,idebenone(30mg/kg,p.o.)は,正反応数の増加および誤選択数の減少によって示される著明な学習改善作用を示した.indcloxazine hydrochloride(20mg/kg,p.o.)は,正反応数には無影響であったが誤選択数を軽度減少させた.両薬剤のこのような作用は,脳組織障害により低下した脳機能の改善によるものと考えられる.以上,本実験により idebenone および inde-loxazine hydrochloride は,実験的脳梗塞ラットの放射状迷路学習障害(空間認知障害)を改善すること,また臨床適用量を考慮した本実験条件においてその作用は idebenone においてより顕著であることが明らかになった.
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