日本薬理学雑誌
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2腎性 Goldblatt 型高血圧犬における MK-0521 の連続経口投与による降圧作用
織田 実鈴木 邦彦猪 好孝佐藤 拓夫岩城 正廣
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1989 年 93 巻 4 号 p. 235-243

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抄録

MK-0521 および captopril を急性期2腎性 Goldblatt 型高血圧犬(腎動脈狭窄手術後6~8日経過)および慢性期2腎性 Goldblatt 型高血圧犬(腎動脈狭窄手術後2~2.5ヵ月経過)に7ないし21日間連続経口投与した.その結果,MK-0521 は急性期,慢性期高血圧を問わずほぼ同程度に血圧を下降させた.この降圧作用は用量依存的で,投与終了後も作用は持続した.captopril も降圧作用を示したが,その作用は急性期高血圧犬においてより明らかであった.renin-angiotensin 系に対する抑制作用は captopril よりも MK-0521 の方が強かった.MK-0521 を連続投与された急性期高血圧犬では,血清 angiotensin 変換酵素活性は増強されたが,血漿 angiotensin II 濃度は低下し,血漿 angiotensin I 濃度および血漿 renin 活性は増加ないし上昇したことから,angiotensin 変換酵素の抑制は明らかであった.しかし,慢性期高血圧犬では,MK-0521 投与により血漿 angiotensin II 濃度は低下しなかった.1日尿量およびNa+,K+,creatinine の各クリアランスには MK-0521 による影響は認められなかった.以上の結果から,2腎性 Goldblatt 型高血圧犬における MK-0521 の降圧作用は主に angiotensin 変換酵素阻害作用によることが示唆された.尚,急性期と慢性期高血圧犬とで認められた作用の相違は両高血圧犬の血圧維持機構が異なることに起因するものと思われる.

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