日本薬理学雑誌
Online ISSN : 1347-8397
Print ISSN : 0015-5691
ISSN-L : 0015-5691
画像解析システムを用いた塩酸胃粘膜損傷モデルの判定法
鈴木 光江鹿児島 正豊島田 英世
著者情報
ジャーナル フリー

1991 年 98 巻 2 号 p. 91-98

詳細
抄録

ラットに塩酸(0.2N,0.4N,0.6N,0.8N)を投与し,これによって惹起される胃粘膜損傷について組織学的判定とコンピュータ画像解析を用いた判定を行ない両者間の比較検討を行なった.コンピュータ画像解析システムを用いた損傷の判定には,損傷の出血部位の面積測定を行なうことにより行なった.本測定法により,従来の損傷部面積の測定のみならず,色調の差から深さの異なる損傷の程度の判別が可能である.すなわち,組織学的な検討から,粘膜の上層から中層に組織損傷が認められる部分は茶褐色(BROWN AREA)を呈し,粘膜の深層部におよぶ組織損傷部分は赤黒色(BLACK AREA)を呈している.そこで,各種濃度の塩酸を経口投与し,経時的に観察を行なった結果,0.2N塩酸では,損傷の発生は認められず,0.4N塩酸では,前胃腺胃境界部分にわずかに損傷が認められ,これはBROWN AREAのみであった.0.6N塩酸では,BROWN AREAが最大となるのが15分~1時間,肌ACKAREAのピークが30分~1時間に認められた.すなわち,BROW NAREAがBLACK AREAに先行して認められたことから,損傷が浅いものから深いものへと進行したものと考えられた.0.8N塩酸では,投与15分~30分後に損傷のピークが認められ,BROWN AREAに比べてBLACK AREAの占める割合が多く面積,深さ共に損傷度が高かった.我々が開発した画像解析システムによる判定は,塩酸胃粘膜損傷を簡便かつ客観的に判定することができ,さらに潰瘍の面積のみならず深さも考慮した判定に応用することが可能と思われる.

著者関連情報
© 社団法人 日本薬理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top