日本薬理学雑誌
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98 巻 , 2 号
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  • 杉原 昌実, 塗々木 和男, 岡部 栄逸朗
    1991 年 98 巻 2 号 p. 63-71
    発行日: 1991年
    公開日: 2007/02/13
    ジャーナル フリー
    lipopolysaccharide(endotoxin,E.Coli;10μg/ml/body,i.v.)処置を施したウサギの摘出舌動脈標本を用い,B1-受容体アゴニストdes-Arg9-bradykininに対する反応性を検討した.endotoxin処置1,5,そして20時間後に摘出作成された血管標本には,その処置時間依存性のB1・受容体アゴニスト感受性収縮反応が出現した.この反応は,内皮細胞非依存性であった.endotoxin20時間処置動物から摘出作成した血管標本のB1-受容体アゴニスト感受性収縮は,B1・受容体アンタゴニストdes-Arg9-〔Leu8〕-bradykininによって抑制され,また,2種類のタンパク質合成阻害薬(cycloheximide,312μg/kg,i.v.;actinomycinD,80μg/kg,i.v.)をそれぞれendotoxin適用前に処置した動物の摘出血管を用いた場合でも抑制された.強いB2-受容体刺激作用をもつが,B1-受容体に対しては弱い刺激作用をもつbradykininは,血管標本をわずかに収縮させた.しかし,この作用はendotoxinの処置とは無関係に生ずるものであり,そして,用いたB1-受容体アンタゴニストによる抑制を受けなかった.実験の20時間前に生理的食塩溶液を処置した動物の摘出血管標本を予めendotoxinと1~5時間インキュベートした場合,des-Arg9-bradykininに対する反応性は,endotoxin,または血漿の存在とは独立したものであった.このことは,endotoxin全身処置でみられる舌動脈のB1-受容体アゴニスト感受性収縮の出現は,endotoxinの直接的作用,またはendotoxinと血漿関連因子との相互作用の結果ではないことを示唆する.したがって本研究で得られた結果から,endotoxinの全身処置は,cycloheximideあるいはactinomycin Dによって阻害されるタンパク質合成反応段階を介してB1-受容体の形成を誘導するという可能性が考えられ,そしてまた,des-Arg9-bradykininによるB1-受容体刺激がendotoxin全身処置動物の摘出舌動脈標本を収縮させることが示唆される.
  • 河島 勝良, 近藤 香織, 越智 喜昭, 岡 真
    1991 年 98 巻 2 号 p. 73-82
    発行日: 1991年
    公開日: 2007/02/13
    ジャーナル フリー
    胃酸の関与しない胃粘膜損傷モデル,胃粘膜防御因子およびCampylobacter Pylori(C.pylori)に対するAS-2646の効果をラットを用いて検討し,以下の結果を得た.1)AS-2646(5~100mg/kg,p.o.)は,0.4NHCl-50%ethanol(1ml),0.4NHCl-50mM taurocllolate(1ml),1%NH4OH(1ml)およびserotonin(20mg/kg,s.c.)により惹起される全ての胃粘膜損傷に対して用量依存的な抑制効果を示し,ここで用いられた薬剤(cimetidine,pirenzepine,sulpirideおよびprostaglandin E1)の中で最も広い抗胃粘膜損傷作用スペクトルを有していた.2)AS-2646(5~10mg/kg,p.o.)は脱血ストレス負荷あるいはreserpine(10mg/kg,i.p.)投与による胃粘膜血行動態変化と胃粘膜損傷を有意に抑制した.3)AS-2646(2~20mg/kg,p.o.)は寒冷ストレスによる表層胃粘液量の低下およびアスピリン(100mg/kg,p.o.)投与による粘膜hexosamine量の低下を有意に抑制した.4)AS-2646(2~20mg/kg,p.o.)は胃粘膜prostaglandin E2含量に有意な影響を示さなかった.5)AS-2646はC.pyloriに対する抗菌活性(MIC;50~400μg/ml)を示した.以上の結果より,AS-2646は防御因子増強および抗C.pylori作用を有する抗潰瘍・抗胃炎薬として有用であることが示唆された.
  • 増淵 美子, 熊井 俊夫, 田中 政巳, 渡辺 実, 赤池 真理, 平井 正直
    1991 年 98 巻 2 号 p. 83-90
    発行日: 1991年
    公開日: 2007/02/13
    ジャーナル フリー
    SHR(WKY由来)雌雄,33(29~36)及び75(72~78)週齢を使用した.卵巣摘出は4週齢に実施,血圧は無麻酔下tail-cuff法で測定し,心拍数と共に記録した.naloxone(10mg/kg)をi.p.投与した.脳は,大脳皮質,海馬,視床・中脳,視床下部をGlowinski法で分取した.非摘出及び卵巣摘出の両群は,naloxone投与で収縮期血圧(BP)は有意上昇を示したが,naloxoneによる血圧反応率は卵巣摘出が非摘出に比し有意高値を示した.catecholamine(CA)はHPLC法で定量した.血漿中norepinephrine(NE)は,非摘出にnaloxone投与で有意変化はなかったが,卵巣摘出にnaloxone投与すると血漿,海馬,視床・中脳及び視床下部中では有意増加を示した.dopamineは,非摘出にnaloxone投与で血漿及び海馬中で有意増加を,一方,大脳皮質で有意減少を示したが,卵巣摘出にnaloxone投与で血漿中減少,海馬及び視床・中脳中では有意増加を示した.血圧とNEとの相関関係において,視床下部NEの増加時にBPが下降を示し,―方,nalo:xone投与でBP上昇時に視床下部NEが減少するという事実を見出した.以上の結果から,naloxone投与による血圧上昇時,視床下部NEは卵巣摘出によって有意増加することが示された.一方,雌の脳内においては,卵巣摘出によってestrogenが欠如すると内因性opioidsの上昇を来たし,この上昇によってCAの放出が抑制された.これに反して,卵巣摘出にnaloxoneを投与すると,内因性opioidsの作用はブロックされ,その結果,CA放出の抑制機序が解除され,CAの放出誘導の上昇を来すことが示唆された.
  • 鈴木 光江, 鹿児島 正豊, 島田 英世
    1991 年 98 巻 2 号 p. 91-98
    発行日: 1991年
    公開日: 2007/02/13
    ジャーナル フリー
    ラットに塩酸(0.2N,0.4N,0.6N,0.8N)を投与し,これによって惹起される胃粘膜損傷について組織学的判定とコンピュータ画像解析を用いた判定を行ない両者間の比較検討を行なった.コンピュータ画像解析システムを用いた損傷の判定には,損傷の出血部位の面積測定を行なうことにより行なった.本測定法により,従来の損傷部面積の測定のみならず,色調の差から深さの異なる損傷の程度の判別が可能である.すなわち,組織学的な検討から,粘膜の上層から中層に組織損傷が認められる部分は茶褐色(BROWN AREA)を呈し,粘膜の深層部におよぶ組織損傷部分は赤黒色(BLACK AREA)を呈している.そこで,各種濃度の塩酸を経口投与し,経時的に観察を行なった結果,0.2N塩酸では,損傷の発生は認められず,0.4N塩酸では,前胃腺胃境界部分にわずかに損傷が認められ,これはBROWN AREAのみであった.0.6N塩酸では,BROWN AREAが最大となるのが15分~1時間,肌ACKAREAのピークが30分~1時間に認められた.すなわち,BROW NAREAがBLACK AREAに先行して認められたことから,損傷が浅いものから深いものへと進行したものと考えられた.0.8N塩酸では,投与15分~30分後に損傷のピークが認められ,BROWN AREAに比べてBLACK AREAの占める割合が多く面積,深さ共に損傷度が高かった.我々が開発した画像解析システムによる判定は,塩酸胃粘膜損傷を簡便かつ客観的に判定することができ,さらに潰瘍の面積のみならず深さも考慮した判定に応用することが可能と思われる.
  • 鹿児島 正豊, 星野 隆一, 島田 英世
    1991 年 98 巻 2 号 p. 99-111
    発行日: 1991年
    公開日: 2007/02/13
    ジャーナル フリー
    3-hydroxymethyl-2-methylimidazo〔2,1-b〕benzothiazole(NIK-228)の胃液分泌抑制作用の作用メ力ニズムについて,H2-受容体拮抗薬のcimetidineおよび抗コリン剤のatropineを用いて比較検討した.実験動物は,雄性Wistar系ラット(200~250g)を24時間絶食下で使用した,NIK-228は,100mg/kgの経ロ投与により,胃酸分泌量を有意に抑制した.またcimetidineおよびatropineは,それぞれ100mg/kgおよび5mg/kgの経口投与により,NIK-228と同程度,胃酸分泌量に対し抑制が認められた.そこでNIK-228,cimetidineおよびatropineのそれぞれ前述の用量を経口投与により前処置した後,1時間後に各種の胃酸分泌刺激剤を投与して実験を行なった.NIK-228は,histamine刺激に対しては,まったく胃酸分泌の抑制が認められず,gastrin刺激に対して軽度の抑制,また2-DGおよびbethanechol刺激に対しては,抑制作用が認められ,atropine様の作用を示した.しかし迷走神経切除ラットを用いたbethanechol刺激に対して,NIK-228は,胃酸分泌抑制作用を示さず,atropineとは異なった作用動態が認められた.一方cimetidineは,histamine,gastrin,2-DGおよびbethanechol刺激に対して,胃酸分泌の抑制作用が認められた.以上のことから,NIK-228の胃酸分泌抑制作用には,cimetidineのようなH2-受容体拮抗作用は関与していないと考えられる.さらにNIK-228がatropineと類似の作用動態を示したことから,一部迷走神経系を介する作用が考えられるが,迷走神経切除ラットを用いたbethanechol刺激において,NIK-228の胃酸分泌抑制作用が消失したことから,NIK-228の有する胃酸分泌抑制作用には,迷走神経上位の系に基づく抑制作用が関与している可能性が推察された.
  • 嘉久志 寿人, 四家 勉, 早崎 洋子, 有田 斉, 内田 清久
    1991 年 98 巻 2 号 p. 113-120
    発行日: 1991年
    公開日: 2007/02/13
    ジャーナル フリー
    (+)-S-145,(1R,2S,3S,4S)-(5Z)-7-(3-pllenylsulfonylaminobicyclo〔2.2.1〕hept-2-yl)heptenoic acidのナトリウム塩はin vitroで,ヒト血小板のアラキドン酸(AA),9,11-methanoepoxy-PGH2(U46619),collagen凝集およびADPとepinephrineの二次凝集を阻害し,その平均50%阻害濃度(IC50)は0.047~0.146μMであった.モルモットに,(+)-S-145カルシウム塩二水和物を経口投与した場合の60分後におけるAA,U46619およびcollagenによる血小板凝集は用量依存的に阻害され,最少有効量は0.03mg/kg,作用持続時間は約3時間であった.(+)-S-145カルシウム塩二水和物の0.5mg/kgを単回または1日1回7日間連続経口投与してもAA,U46619およびcollagen凝集に対する阻害の強さおよび作用持続時間には差はみられなかった.しかし,(+)-S-145ナトリウム塩はin vitroでモルモット血小板に対しアゴニスト作用を示すが,その作用は低濃度の(+)-S-145ナトリウム塩の前処理によって高濃度のアゴニスト作用は消失した.以上の成績から,(+)-S-145カルシウム塩二水和物は経口投与で強い血小板凝集阻害作用を示す化合物であると結論される.
  • 永瀬 毅, 堀田 啓, 森田 繁道, 酒井 賢, 山根 幹男, 表 雅之, 水澤 英甫
    1991 年 98 巻 2 号 p. 121-141
    発行日: 1991年
    公開日: 2007/02/13
    ジャーナル フリー
    1-[2-[bis(4-fluorophenyl)metlloxy]ethyl]-4-(3-phenylpropyl)piperazine dillydrochloride(I-893)の中枢神経系に対する作用を行動薬理学的および脳波学的に検討した.マウスにI-893(5~20mg/kg)を腹腔内投与した場合,自発運動を用量依存的に尤進したが,反復投与しても自発運動亢進作用に変化は認められなかった.reserpine処置マウスにI-893を経ロ投与しても,自発運動の充進は認められなかった.α-MPT処置マウスにおいては,I-893の中等用量(10~40mg/kg)の経口投与時には非処置動物に比べて自発運動量が有意に少なかったが,高用量投与時には差が認められなかった.6-OHDAによる一側黒質線条体破壊ラットにおいて,I-893の経口および腹腔内投与により破壊側への旋回運動が認められた.ラットにおけるhaloperidol誘発カタレプシーは,I-893の経口投与により用量依存的に軽減した.マウスにおけるtremorine振戦は,I-893の経口投与により用量依存的に抑制された.その効果は,10日間の投与後においても変化しなかった.I-893は,ラットに経ロ投与した場合,常同行動を用量依存的にひき起こしたが,methamphetamine誘発常同行動には影響を及ぼさなかった.ラットにおけるbarbiturate睡眠は,I-893の経口投与により拮抗された.I-893を6日間経口投与したラットにおいて,最終投与の翌日にpentobarbitalを投与した時,その睡眠作用には,溶媒処置動物との間で差が認められなかった.I-893の静脈内投与により,ウサギ大脳皮質および扁桃核脳波は低振幅速波となり,海馬脳波にθ波が出現した.以上のことから,I-893は,シナプス前膜に作用し,exocytosisによって放出されたカテコールアミンの取り込みを阻害することによって間接的にdopamine(DA)様作用を発現するものと考えられる.
  • 升永 博明, 高比良 玲子, 村瀬 行雄, 津田 英資, 沢井 忠則
    1991 年 98 巻 2 号 p. 143-150
    発行日: 1991年
    公開日: 2007/02/13
    ジャーナル フリー
    遺伝子組換え技術により量産されたhuman-erythropoietin(EPO)であるSNB-5001の血漿中濃度推移と作用発現時間についてWistar系雄性ラットを用い検討した.SNB-5001を皮下投与すると,6~7時間で最高血中濃度に達し,48時間でほぼ消失した.生物学的半減期は,静脈内投与より皮下投与のほうが長かった.血清中のEPO生物活性も同様に推移し,免疫化学的に測定した血漿中濃度と高い相関を示したことから,SNB-5001は血液中でも活性を保持したまま組織に移行するものと考えられた.SNB-5001の投与後8時間で血清鉄の減少と不飽和鉄結合能(UIBC)の増加が始まり24時間でピークに達した後,72時間で回復した.総鉄結合能(TIBC)は変化しなかった.網状赤血球は投与後24時間でわずかに増加し,72時間から96時間でピークに達した後,120時間で投与前値とほぼ同じレベルまで低下した.皮下投与後の作用発現時間も静脈内投与とほぼ同様であったことから,吸収過程の比較的速い時点において有効血漿中濃度に達していることが示唆された.
  • 升永 博明, 高比良 玲子, 沢井 忠則
    1991 年 98 巻 2 号 p. 151-160
    発行日: 1991年
    公開日: 2007/02/13
    ジャーナル フリー
    Wistar系雄性ラットを用い,薬物性腎障害貧血モデルを作製した.抗悪性腫瘍剤であるcisplatinを8mg/kgの用量で静脈内投与すると,―過性に白血球と血小板の減少および血液の濃縮が認められ,2週目から腎障害と貧血を持続した.またアミノヌクレオシド抗生物質であるpllromycinを15mg/kg/dayの用量で週4回ずつ3週間繰り返し皮下投与すると,投与期間中から終了後2週目まで高脂血症および低アルブミン血症の腎障害と進行性の重篤な貧血を呈した.これらの動物を新しい腎性貧血モデルとして,recombinant human erythropoietin(SNB-5001)の有効性を検討するために,50および500U/kgのSNB-5001を皮下または静脈内に7日間繰り返し投与した.cisplatin腎障害ラットの貧血では50および500U/kgの投与で,赤血球数,ヘモゲロビン,ヘマトクリット値および網状赤血球数の用量依存的な増加が認められた.―方,puromycin腎障害ラットの貧血では,50U/kgの投与では,網状赤血球数のわずかな増加は認められたが,赤血球数ヘモグロビンおよびヘマトクリット値の増加は認められなかった.この貧血の進行に対し,500U/kgの用量では明らかな抑制作用が認められた.SNB-5001は,薬物性腎障害に誘発された貧血に対しても有用であることが示唆された.網状赤血球の増加を指標にSNB-5001の作用強度を比較すると,cisplatin腎障害ラットの貧血に対する造血作用は,pllromycin腎障害ラットの貧血に対する作用に比べて強く,貧血改善状態も長く持続した.尿毒症や腎性貧血の状態などの病態の違いが,SNB-5001の作用の発現に影響する可能性が示唆された.
  • 百瀬 和享
    1991 年 98 巻 2 号 p. 161-165
    発行日: 1991年
    公開日: 2007/02/13
    ジャーナル フリー
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