抄録
本論文では非加法的測度に関する収束定理について数学的に議論している.扱っている収束概念は,非加法的測度論における可測関数列に関する六つの収束(概収束,擬概収束,概一様収束,擬概一様収束,測度収束,擬測度収束)である.また,本論文における収束定理とは,上記六つの収束概念間の含意関係を示す定理である.本論文では,概一様収束が擬概収束,擬概一様収束,擬測度収束のそれぞれを含意するための必要十分条件と,擬概一様収束が概収束,概一様収束,測度収束のそれぞれを含意するための必要十分条件を求めている.また,序数性と双対性を用いて,収束定理間の関係と条件間の関係を整理している.さらに,新しい条件(M)を導入し,Egoroffの定理に関する既存の十分条件よりも真に弱い十分条件と,既存の必要条件よりも真に強い必要条件を導いている.