抄録
症例は82歳,女性.多発性骨髄腫の経過観察中に血便が出現し,緊急入院となった.大腸内視鏡では,大腸に出血性病変を認めなかったが,回腸より血液の流出を認めた.カプセル内視鏡で,小腸にびらん,潰瘍が多発していたため,経肛門的ダブルバルーン内視鏡を施行したところ,回腸に粘膜下血腫を多数誘発した.生検でアミロイドの沈着を認め,多発性骨髄腫を基礎疾患とするアミロイドーシスと診断し,化学療法を開始した.アミロイド沈着によって虚血性変化と組織の脆弱化が生じているところに,内視鏡挿入の刺激が加わったことで回腸に血腫が誘発されたと考えられた.