抄録
症例1は54歳男性.腹痛を発症した5日後,両下肢に紫斑が出現した.皮膚生検で血管周囲に炎症細胞浸潤を認めHenoch-Schönlein紫斑病(HSP)と診断.2週間の保存的治療で症状が改善せず,カプセル内視鏡を施行したところ小腸全域に発赤,浮腫,びらんを認めたため,ステロイドによる治療を開始した.症例2は53歳男性.両下肢に皮疹が出現した数日後に腹痛,尿蛋白を認め,皮膚生検で白血球破壊性血管炎を認めHSPと診断.ステロイドによる治療後に貧血の進行を認めたためカプセル内視鏡を施行したが,小腸内はほぼ正常であったためステロイド治療を継続した.カプセル内視鏡は病変の程度を把握し,治療方針を決めるのに有用であった.