日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成21年度日本調理科学会大会
セッションID: 2C-p5
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口頭発表
豆乳・牛乳による緑茶の苦味抑制効果について
*長島 万弓梅村 彩江鈴木 優美岡崎 章子早川 史子
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抄録

【目的】近年家庭での茶葉の使用量が減少しさらに国内消費の茶は輸入品が使われることが多く、国内の茶産業は衰退の傾向にある。本研究では減少していく茶葉の利用を増やすため、食材としての茶に注目し、その利用の基礎資料として緑茶の特徴であるカテキンの苦味の嗜好性を検討した。今回は豆乳と牛乳による緑茶の苦味抑制効果について報告する。
【方法】茶葉(滋賀県土山町産)は摘採後、蒸気で蒸し、冷凍保存したものを使用した(生茶葉)。大学1年生を対象に、牛乳と豆乳の嗜好性と飲用習慣、苦味食品の嗜好性、緑茶の嗜好性と飲用習慣についてのアンケート調査および、水、牛乳、豆乳それぞれに生茶葉を入れたプリン(ショ糖10~15%、カテキン0.42%)による官能検査をおこなった。また、溶媒として水、牛乳、豆乳、スキムミルク、脱脂豆乳を用いたときの、茶カテキン(0.05~0.5%)の苦味を味覚センサー(味認識装置TS-5000Z)で測定した。
【結果】官能検査の結果より、豆乳と牛乳は生茶葉入りプリンに対して同等の苦味抑制効果を示し、ショ糖添加による生茶葉入りプリンの甘味度および嗜好性はともに牛乳>豆乳(p<0.01)であった。これらの結果から、苦味と嗜好性、甘味と嗜好性の間には「苦いから嫌い」、「甘いから好き」という関係がみられた。また、緑茶、牛乳、豆乳の嗜好性や飲用習慣と生茶葉入りプリンの嗜好性との間には相関はみられなかった。味覚センサーよる溶媒別苦味抑制効果は、水と比較して牛乳≒豆乳>脱脂豆乳>スキムミルク(p<0.01)であり、その要因は牛乳や豆乳に含まれる脂質よりもタンパク質によるもののほうが高いことを確認した。
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