抄録
【背景・目的】黒色食道炎と非黒色食道炎を包括した疾患概念として急性食道粘膜病変(acute esophageal mucosal lesion:以下AEML)が提唱されている.今回,AEMLの重症度を検討した.
【方法】AEML88例を黒色食道炎群18例と非黒色食道炎群70例に分類し,臨床像と経過を比較した.
【結果】AEMLは基礎疾患と入院加療を必要とする併存疾患を多く認め,他の内視鏡所見では食道裂孔ヘルニア,胃十二指腸潰瘍の合併が多く認められたが両群に差はなかった.死亡転帰を16%に認めたが全例AEML以外の病態での死亡であり,両群で死亡率に差は認めなかった.しかし,黒色食道炎群のほうが食道粘膜の改善速度は遅く,発症範囲も広域であり,合併症として食道狭窄をきたした症例が存在した.また,黒色食道炎群は非黒色食道炎群に比べて,経口(経管)栄養開始時期が遅く(8.7日 VS 3.8日),入院期間が長期化していた(33.1日 VS 12.8日).
【結論】黒色食道炎は内視鏡所見や臨床経過ともに非黒色食道炎の重症型であると考えられた.