2016 年 58 巻 11 号 p. 2268-2272
症例は67歳,男性.糖尿病のため通院中であった.横行結腸の腺腫に対するEMR目的に入院した.術中,明らかな偶発症なくEMRは終了したが,翌日,39℃台の発熱を認め,血液検査で炎症反応の上昇を認めた.腹部診察上は圧痛なく腸蠕動音も正常であったが,CTにて横行結腸の治療箇所近傍に形成された低吸収の腫瘤を中心としてtarget signを認め,腸重積と診断した.大腸内視鏡検査を施行し,腸重積は内視鏡的に整復された.CTでのほぼ均一な低吸収の液体貯留や血液検査所見,腫瘤からの生検で内部から膿汁の排出が見られたことから,粘膜下膿瘍と考えられた.前処置が悪い中での内視鏡治療,基礎疾患が膿瘍の形成に関与したと考えられた.