2017 年 59 巻 2 号 p. 184-189
症例は78歳,男性.大腸憩室出血による出血性ショックにて救急搬送された.腹部造影CTでは脾彎曲からの出血が疑われ緊急内視鏡を施行したが,大量の血液で視野を得ることができず内視鏡止血が困難であった.自然止血したため保存的加療となっていたが,入院後再出血をきたした.血圧が保てず緊急手術となった.術中内視鏡を併用し出血源を同定後,内視鏡視認下で漿膜側から責任憩室のみを全層縫合し,腸管切除を回避することが可能であった.これまで同様の報告例はなく,低侵襲かつ確実性の高い方法と考えられたため報告する.