日本消化器内視鏡学会雑誌
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総説
クローン病小腸狭窄に対する内視鏡的バルーン拡張術の現況と将来展望
馬場 重樹 辻川 知之髙橋 憲一郎佐々木 雅也杉本 光繁安藤 朗
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2018 年 60 巻 12 号 p. 2485-2498

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抄録

クローン病の最も多い手術理由は小腸狭窄である.炎症性狭窄の場合は全身的な薬物投与により狭窄の改善が期待できるが,線維性狭窄に対する現状薬剤の効果は認められていない.以前はアプローチ困難であった小腸狭窄の治療として,バルーン小腸内視鏡を用いた内視鏡的バルーン拡張術が普及しつつある.スコープが狭窄部に到達できれば,バルーン拡張術の成功率は高く,偶発症も少ないことが明らかとなっている.また比較的低侵襲であり,腸管切除術による腸管機能低下を防ぐ意味において狭窄に対しては最も優先されるべき治療法である.しかし,実際は手術を回避するために繰り返し拡張を要することが課題となっている.クローン病の狭窄に対して内視鏡的バルーン拡張術以外にも,針状メスによる狭窄切開術(stricturotomy)やステント留置術などが報告されているが一般化するには至っていない.今後は新規薬剤の中には線維化をターゲットとした薬剤も含まれており,再狭窄予防へ向けた効果の検討が待たれる.

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© 2018 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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