日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
Print ISSN : 0387-1207
ISSN-L : 0387-1207
症例
黒色便を契機に診断された胃ランタン沈着症の1例
山崎 健路 山下 晃司九嶋 亮治岩田 仁中西 孝之永野 淳二安藤 暢洋杉原 潤一清水 雅仁
著者情報
ジャーナル フリー HTML

2018 年 60 巻 3 号 p. 215-222

詳細
抄録

症例は65歳,男性.糖尿病性腎症による慢性腎不全のため他院で維持透析を行っていた.2016年8月黒色便を認め,上部消化管出血の疑いにて当院紹介.上部消化管内視鏡検査にて胃前庭部から湧出性出血と胃全体に白色の微細顆粒所見を認めた.アルゴンレーザーによる止血術を行い止血し得た.炭酸ランタンを長期服用しており,生検にてランタン沈着症と診断した.ランタン沈着は腸上皮化生を背景とする粘膜に比較的多く認められた.出血症状を呈する胃ランタン沈着症の報告はまれで,炭酸ランタンを投与する際に注意を要する.胃ランタン沈着症の長期的な影響はわかっておらず,多数例での検討が必要である.

著者関連情報
© 2018 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
前の記事 次の記事
feedback
Top