2018 年 60 巻 4 号 p. 1003-1009
82歳,男性.下血により当科紹介入院となった.既往に脊柱管狭窄症の手術歴があり,腰痛のためdiclofenac sodiumが長期間投与されていた.下部消化管内視鏡検査では,横行結腸脾彎曲口側に膜様狭窄を認め,通常の内視鏡は通過しなかった.このため,細径内視鏡を用いて狭窄を通過し,盲腸まで観察した.回盲部から横行結腸にかけて,多発する潰瘍性病変と11カ所に及ぶ高度膜様狭窄を認めた.生検,組織培養にて疾患特異的所見は認めず,非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)起因性大腸病変と診断し手術を施行した.NSAIDs起因性大腸膜様狭窄の報告例は少なく,組織学的所見を含めて報告する.