日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
Print ISSN : 0387-1207
ISSN-L : 0387-1207
症例
食道病変を呈したIgA血管炎の1例
田中 美彩子 野口 隆一小島 邦行関 建一郎大倉 康志守屋 圭西村 義明吉治 仁志
著者情報
キーワード: IgA血管炎, 食道
ジャーナル フリー HTML

2018 年 60 巻 5 号 p. 1083-1088

詳細
抄録

症例は29歳男性.腹痛を主訴に近医を受診し,Helicobacter pyloriHP)感染を指摘,除菌療法を施行された.その翌日に症状が増悪し腸炎疑いで当院に緊急入院となった.入院後に下腿の紫斑が出現し,上下部消化管内視鏡検査を施行したところ,食道,胃,十二指腸,回腸,結腸にびらんを認め,IgA血管炎による消化管病変と考えられた.プレドニゾロン内服後は,腹部症状は消失し紫斑も改善した.IgA血管炎の食道病変を内視鏡で観察し得た報告例は少なく貴重な症例と考えられる.またIgA血管炎には消化器症状が先行する例もあり,内視鏡所見は多彩な像を呈することが多いため,IgA血管炎の消化管病変の特徴を認識しておくことが重要と考えられた.

著者関連情報
© 2018 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
前の記事 次の記事
feedback
Top