日本消化器内視鏡学会雑誌
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総説
家族性大腸腺腫症の内視鏡診断と治療の最前線
石川 秀樹
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2018 年 60 巻 9 号 p. 1547-1557

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抄録

大腸内視鏡検査の普及とともに,大腸癌検診による便潜血検査陽性や,大腸内視鏡検査によるドックなどで,家族性大腸腺腫症を診断する機会が増えてきている.そこで本章では,家族性大腸腺腫症の診療において消化器内視鏡医が知っておくべき内容および最新の治療研究を紹介した.

家族性大腸腺腫症は,大腸に腺腫が多発することを主徴とする常染色体優性遺伝性疾患である.本疾患で高頻度に認める胃腺腫,胃癌,胃底腺ポリープ,十二指腸腺腫,大腸腺腫,大腸癌,回腸ポーチ腺腫の診断について,通常診療と異なる注意点を記した.

治療については,これまで本疾患は外科的な大腸全摘術や膵頭十二指腸切除術しかなかったが,内視鏡的なポリープ摘除や,大腸ポリープの抑制をめざした化学予防の研究が積極的に行われている.これらの研究状況を紹介した.

なお,家族性大腸腺腫症の診療には,大腸癌研究会より出版されている「遺伝性大腸癌診療ガイドライン2016年版」を必ず参照してほしい.

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© 2018 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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