2019 年 61 巻 12 号 p. 2604-2609
症例は80歳代男性.胃角大彎に,陥凹性病変を指摘し,生検にて中分化型管状腺癌の診断となった.分化型の粘膜内癌と診断し胃粘膜下層剝離術(ESD)の方針とした.ESD時の観察では,陥凹部に連続する褪色調領域を認めた.NBI拡大観察では陥凹部の表面は無構造で,密度の高い不整な微小血管構造を認めた.褪色調の領域は大小不同の乳頭状構造で密度の低い微小血管像であった.ESD切除標本の病理組織学的所見は,陥凹部に神経内分泌マーカー陽性の大細胞神経内分泌癌を,褪色域は神経内分泌マーカーが陰性の高分化型管状腺癌を認め,mixed adenoneuroendocrine carcinoma(MANEC)と診断した.今回,われわれが経験した早期胃 MANEC症例を,拡大内視鏡所見の詳細と合わせ報告する.