日本消化器内視鏡学会雑誌
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手技の解説
Pocket-creation methodによるESD
林 芳和 砂田 圭二郎三浦 義正山本 博徳
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2019 年 61 巻 2 号 p. 178-185

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抄録

Pocket-creation method(PCM)は,最初はESD難症例である大腸のIs腫瘍を克服するためにtunneling methodから進化した.PCMは以下の多くの利点を有している.1)小さな粘膜切開のため,局注液の漏出が少なく,粘膜の膨隆を長時間維持できる.2)ポケット内では,剥離先進部の粘膜下層組織にフード先端で牽引・反対牽引をかけることができ,粘膜下層剥離が容易になる.3)内視鏡画面内に筋層走行を視認できるので,安全に筋層直上での粘膜下層剥離が可能となり,十分な厚さの粘膜下層がついた組織標本を得ることができる.4)筋層が内視鏡に対して垂直方向に存在していても,ポケット内に入った内視鏡でそのアプローチアングルを接線方向に調整することができる.5)ポケットの中では呼吸変動や心拍動と内視鏡先端が同期し安定した操作性を維持できる.さらにPCMはその作法通りに行えば,難局に捕らわれることなくESDを遂行できることにも気づいた.そのような理由よりPCMはESDを行おうとする多くの内視鏡医に習得していただきたい標準法に値するとわれわれは考えている.

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© 2019 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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