2019 年 61 巻 3 号 p. 252-258
【目的】急性出血性直腸潰瘍(AHRU)に対する止血鉗子を用いた内視鏡的止血術の有効性と,AHRUの臨床的特徴を検討した.【対象・方法】AHRUと診断された45例の臨床的特徴を検討し,そのうち,止血鉗子を用いた内視鏡的止血術が施行された28例を対象として,その有効性や安全性に関して検討した.【結果】AHRUは高齢で脳血管疾患などの何らかの基礎疾患を有する患者に多くみられた.止血鉗子を用いた内視鏡的止血術は,一次止血率100%であり,偶発症はみられず,再出血率は14.3%であった.再出血に対しても,内視鏡的に止血可能であった.また,AHRUによる出血が直接の死因となった症例はみられなかった.【結論】AHRUに対する止血鉗子を用いた内視鏡的止血術は有効かつ安全である.