2019 年 61 巻 4 号 p. 381-386
症例は63歳男性.呼吸困難感に対し近医で気管支喘息の診断にてステロイドの内服,吸入が開始されたが症状増悪し,当院で心房細動,急性心不全と診断され入院となった.心房細動に対する塞栓予防として抗凝固薬を投与したところ血便が生じ,大腸内視鏡検査で肝彎曲部に多発憩室とその領域に限局して潰瘍と白苔の付着を認めた.当初は憩室性大腸炎を疑ったが,生検組織中に栄養型アメーバが確認されたためアメーバ性大腸炎と診断し,メトロニダゾールの投与にて潰瘍が治癒した.無症候性の赤痢アメーバ保有者がステロイドや抗凝固薬の使用によってアメーバ性大腸炎を発症し,その病変が大腸憩室多発領域に限局した症例を報告する.