2019 年 61 巻 4 号 p. 387-393
症例は10歳男児.上腹部痛・嘔吐で発症し,前医で重症急性膵炎と診断され,当院に搬送された.集中治療により膵炎鎮静化が得られ,発症2カ月後に合併した感染性嚢胞に対して嚢胞空腸吻合術が奏効した.しかし,その後も膵炎を反復し,その誘因と考えられた主膵管狭窄に対して,内視鏡的膵管ステント留置,続いて副乳頭切開を行い,一時的に寛解したが,その後も再燃したため,発症9カ月後にFrey手術を施行した.5年後現在まで膵炎の再燃なく,膵内外分泌機能も温存されている.膵機能温存や長期予後が重視される小児例においては,内視鏡治療の限界も考慮しつつ,外科治療のタイミングを逸さない慎重な経過観察が必要である.