2019 年 61 巻 9 号 p. 1630-1635
症例は73歳,男性.切歯より25-29cmに,病変内にRokitansky憩室を伴う,半周性の早期食道癌を認めた.EUSで憩室部分の筋層の欠損がないことを確認後,全身麻酔下にESDを施行した.憩室底部は繊維化が高度であり,剝離後の観察では,筋層と外膜は保たれているが,縦隔が透見された.術後に軽度の縦隔炎を合併したが,抗菌薬投与により治癒した.Rokitansky憩室は,全層性の真性憩室だが,慢性の炎症により固有筋層が菲薄化もしくは欠損している場合があり,穿孔のリスクが高い.そのため,Rokitansky憩室にかかる早期食道癌に対する内視鏡治療の適応は,化学放射線療法など選択も含めて充分に検討すべきであり,EUSによる憩室内の筋層の確認と,穿孔に備えた準備が必要である.