2020 年 62 巻 10 号 p. 2274-2279
80歳女性.転移性乳癌に対してBevacizumabとPaclitaxelによる化学療法を施行した.7クール後に白血球増多と炎症反応の上昇を認めた.CTで胃壁内に膿瘍を認め,内視鏡検査では胃粘膜が浮腫状に肥厚し,胃蜂窩織炎の像を呈していた.経皮的膿瘍ドレナージと抗生剤投与により膿瘍は消退し,炎症所見は軽快した.消化管膿瘍形成の発症頻度はまれであるが,Bevacizumabによる消化管関連の有害事象が報告されており,本症例はBevacizumabの関与が疑われた.病状を考慮した内視鏡下および経皮的膿瘍ドレナージと抗生剤投与は有効な治療法と考えられた.病態の解明のため,更なる症例の蓄積が望まれる.