2020 年 62 巻 9 号 p. 1614-1623
食道アカラシアは,下部食道括約筋の弛緩不全と食道体部の蠕動運動の障害をきたす良性疾患である.しかし,食事摂取が困難であることの苦痛度は高く,治療の必要性が高い疾患といえる.これまでの治療は,バルーン拡張術やHeller筋層切開術が行われていたが,内視鏡的治療として,Inoueらにより経口内視鏡的筋層切開術(Per-oral endoscopic myotomy:POEM)が開発された.POEMは,筋層切開術を低侵襲である経口内視鏡的に行う手技であり,1回の治療で長期的な効果を得ることができる.現在,日本国内でPOEMを施行可能な施設は限られているが,その普及により食道アカラシア自体の関心や認知度も高くなっている.本稿では,POEMの術前診断ならびにPOEMのコツと,さらにトラブルシューティングについて述べる.