2020 年 62 巻 9 号 p. 1624-1633
【背景】食道扁平上皮癌の治療方針決定に正確な深達度診断が重要であるが,MM/SM1の正診率は低く解決すべき課題となっている.本研究の目的はLED光源を用いたLCIにおける食道表在癌に対する色と深達度の関連性について検討することである.
【方法】表在型食道癌と診断された病変に対し白色光につづいてLCIで観察を行った.色合いの評価についてはCIE-L*a*b*空間を用いて色値を算出し,深達度ごとの癌部と非癌部の色差を算出した.血管径およびintrapapillary capillary loopの分岐角を病理的に算出し,色合いとの相関を検討した.
【結果】48症例52病変が登録された.深達度別の正常と病変部の色差において,MM/SM1以深群ではEP/LPM群に比べて有意に色差が大きかった(P=0.025).血管径はb*値と弱い正の相関を認めた(相関係数=0.302,P=0.033).
【結論】LED光源を用いたLCI観察は,表在型食道癌における深達度診断の向上に有用である可能性があるが,その有用性を示すのにはさらなる検討が必要である.