炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease;IBD)の診断時には腸管感染症との鑑別は最も大切である.その後の経過が全く異なるため,誤診することはあってはならない.またIBDの再燃兆候がみられた場合,IBDの再燃か,感染症の発症か,またはその両者の合併かを的確に鑑別することは重要である.腸管感染症はIBDの増悪因子としても知られており,IBDを診療する上で腸管感染症は常に念頭に置くべき疾患である.そこで,本稿では,IBDを診療する上でIBDと鑑別を要する主な腸管感染症について,疾患概念や内視鏡所見について解説した.