日本消化器内視鏡学会雑誌
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症例
脾動脈瘤を伴う膵仮性囊胞結腸瘻からの出血により失神をきたした1例
宮本 和幸 町田 健根岸 宏行中村 元保原野 康平福島 元彦
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2021 年 63 巻 11 号 p. 2350-2355

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抄録

症例は53歳の男性で歩行中に失神した.入院後に凝血塊を伴う血便があり,大腸内視鏡で横行結腸脾彎曲部に周囲に発赤を伴う径20mmの大きな粘膜下腫瘍様の隆起があった.腹部~骨盤造影CTで脾動脈瘤を伴う膵仮性囊胞が横行結腸を圧排していた.同日夜に,突然の腹痛と多量の血便があった.転院後のCTで腸管内への造影剤の漏出を認めたため,緊急手術が施行された.病理組織学的検査で脾動脈瘤を伴う膵仮性囊胞が結腸に穿通していた.過去の報告で膵仮性囊胞結腸瘻の典型像は瘻孔形成である.ただ,完全に瘻孔が形成されていない穿通例では,本症例のような拍動を伴わない粘膜下腫瘍様隆起を呈することがあり注意が必要と考える.

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© 2021 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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