2021 年 63 巻 3 号 p. 300-312
消化管出血に対する緊急内視鏡や,内視鏡治療中の出血では,視野確保が難しい.送気や吸引で視野が確保できない場合は,水を注入しての浸水観察が試みられるが,出血の勢いが強いと流れ出た血液と水が混ざり合って,濁った視野になる.水の代わりに透明なgelを注入するgel immersion endoscopyを用いれば,水や血液とすぐには混じり合わず,血液や凝血塊等を押しのけて透明な空間を作り出して視野確保でき,直視下で処置が可能になる.この方法のために開発した電解質を含まない専用gelを用いれば,gelの中でもモノポーラー高周波処置具が使用可能である.腸準備不良時の大腸内視鏡や,腸管内圧を低圧に保って内視鏡を行いたい場合など,様々な場面に応用できる.今後,送気と送水に続く第3の視野確保方法として,gel immersion endoscopyが普及していくことを期待している.