日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
Print ISSN : 0387-1207
ISSN-L : 0387-1207
総説
内視鏡診療における病理検体の扱いと病理診断の解釈
新井 冨生
著者情報
ジャーナル フリー HTML

2021 年 63 巻 5 号 p. 1075-1086

詳細
抄録

病理診断は検体採取の段階から始まるので,検体採取を担う内視鏡医は病理診断において重要な役割を果たしている.採取された生検検体は乾燥を避けて速やかに固定し,内視鏡治療された検体は適切に伸展して固定する.固定液は蛋白質発現や遺伝子変異の検索にも適した10%中性緩衝ホルマリンが推奨されている.内視鏡治療された検体は,壁深達度,組織型,浸潤様式,リンパ管侵襲,静脈侵襲,切除断端など各臓器に共通する項目を検討して,治療の完了や追加切除の適否を判定する.一方,ルゴール染色(食道),食道胃接合部判定,組織混在型(胃),簇出(大腸)など臓器特異的な取扱いや評価項目もある.最近普及しつつあるEUS-FNA法は検体採取や取扱いに多職種の協力が必要であり,正診率をあげるためには組織診断と細胞診の併用が有用である.内視鏡治療をさらに適切なものにするためには転移・再発リスクをより正確に予測できる因子が必要であり,臨床医と病理医の協力のもとさらなる検討が不可欠である.

著者関連情報
© 2021 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
前の記事 次の記事
feedback
Top