日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
Print ISSN : 0387-1207
ISSN-L : 0387-1207
総説
消化性潰瘍ガイドラインの改訂を踏まえた内視鏡診療の役割
杉本 光繁 河合 隆
著者情報
ジャーナル フリー HTML

2021 年 63 巻 9 号 p. 1573-1587

詳細
抄録

消化性潰瘍の発症はHelicobacter pylori感染と非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を含む薬剤の使用が2大要因であるが,本邦ではH. pyloriの感染率の低下と酸分泌抑制薬の普及により,その罹患率は急激に減少しつつある.また,超高齢化を迎え,薬剤起因性の消化性潰瘍が占める率が高まり,日常臨床の現場ではその対策にも注意を払うべきである.2020年に「消化性潰瘍診療ガイドライン」が改訂され,新たな酸分泌抑制薬の使用方法,H. pylori除菌治療の選択法,NSAIDs内服者への対応,特発性潰瘍の対応などエビデンスの蓄積により新たな指針も示された.上部消化管内視鏡を使用した検診の需要も増し,H. pyloriの総除菌時代を迎える中で上部消化管内視鏡検査の役割はどのように果たすべきだろうか.本稿では,「消化性潰瘍診療ガイドライン」の改訂に合わせ,臨床の現場で遭遇する消化性潰瘍診療における問題点やガイドラインの改訂点,上部消化管内視鏡検査の重要性や役割について解説する.

著者関連情報
© 2021 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
前の記事 次の記事
feedback
Top