2022 年 64 巻 10 号 p. 2247-2254
小腸はその長い管腔や腸間膜による固定性の乏しさのため,上下部消化管と比べて内視鏡挿入の難しい臓器であるが,2000年代からは小腸カプセル内視鏡,ダブルバルーン小腸内視鏡,シングルバルーン小腸内視鏡およびスパイラル小腸内視鏡という有効性,安全性の高い手法が登場し,小腸観察は従来よりも容易となりつつある.更に,2016年には電動スパイラル小腸内視鏡(Motorized spiral enteroscopy:MSE)が登場し,2021年より本邦でも一部施設において使用可能となっている.MSEはバルーン補助小腸内視鏡と同等の診断能,挿入能を有していながら,短時間で挿入できる可能性が示唆されており,既存の小腸内視鏡と併せて小腸疾患の診療を更に向上させていくことになるだろう.