2022 年 64 巻 6 号 p. 1235-1240
症例は69歳,女性.便潜血検査陽性のため大腸内視鏡検査を施行した.検査中に横行結腸で強い抵抗を感じたため,腹部の診察を行った.臍部に腫脹認め内部にスコープを触知した.スコープは抵抗があり抜去困難だった.臍ヘルニアにスコープが嵌入したと診断し,ヘルニア門を確認した後,慎重に用手圧迫を行いヘルニア内容を腹腔内へ還納した.用手圧迫を継続して,全大腸を観察できた.大腸内視鏡検査では,腹部のヘルニアの病歴聴取が重要である.そして臍ヘルニアを確認した時は,検査開始時からヘルニア内容を腹腔内へ還納しておくことで,安全な全大腸観察が可能となる場合がある.また,挿入中に違和感を感じた場合は,腹部の診察が重要である.